南山大学

 
指定
選必
期間
秋学期
春学期
単位
年次
1〜4
担当者
榎本 鐘司
他の科目との関連
履修対象学科
副題 ヨーロッパと非ヨーロッパのスポーツ
講義内容  どのような民族にも社会にも独自の文化があるが、その独自性や特徴を把握するには、当然のことながら、他の諸文化との比較が有効な方法である。本講義では、世界の様々な文化を構成する要素、たとえば宗教、政治制度、生活・思考様式、慣習あるいは言語等に注目し、それらを比較文化論的に分析して相違点や共通点ないし相互影響関係について検討し、各文化の特殊性と同時に人類文化としての普遍性を考察する。
講義計画  狭義の概念としての「スポーツ」は、西ヨーロッパ近代の発明物である。この概念形成の過程を振り返り、これを「ものさし」として、非ヨーロッパの、あるいは歴史の上での様々な「身体ないし身体運動の文化」を考察する。
 概念としてのスポーツは、中世ヨーロッパの王が楽しんだ狩猟からはじまる。楽しみとしての狩りという、非日常的な営みを、きわめて組織的に行いえたことによって、それは即興的な娯楽と区別しうる。そして、「ヨーロッパにおけるスポーツ」とは、この概念としてのスポーツのパラダイムにおいて近代に成立した。近代スポーツのことに他ならない。
 「非ヨーロッパのスポーツ」とは、歴史としてのスポーツ、あるいは民族としてのスポーツなどと言い換えることができるだろう。ここでは、近代スポーツにおいて捨て去られた部分にスポットをあてて考えてみたい。古代ギリシアの競技や中世のテニス、現在よく話題にのぼるエスニック・スポーツやニュー・スポーツ、そして日本のスポーツなどを取り上げることによって、近代スポーツからは垣間見ることのできない、より全体的なスポーツ像が浮かび上がってくるだろう。また、近代オリンピックの現在の動向を儀礼化の視点などからも考えてみたいと計画している。

第1回:導入、授業の全体について
第2回:身体における東西の出合い
第3回:最初のスポーツマン
第4回:近代スポーツの形成(ジェントルマン)
第5回:近代スポーツの形成(アスレティシズム)
第6回:近代スポーツの隘路
第7回:スポーツの原初形態
第8回:象徴としてのスポーツ
第9回:文化装置としてのスポーツ
第10〜11回:オリンピック史
第12回:まとめ
評価方法 定期試験に加えて、1回のレポートを課して評価。
テキスト 決まったテキストはありません。以下は参考書。
稲垣正浩著『スポーツを読む』I〜III(三省堂選書)、稲垣正浩著『スポーツ史講義』(大修館書店)
松井良明著『近代スポーツの誕生』(講談社現代新書)
その他