南山大学

 
指定
選必
期間
秋学期
単位
年次
1〜4
担当者
服部 裕幸
他の科目との関連
履修対象学科
副題 翻訳と理解をめぐって人間と機械を考える
講義内容  コンピュータが登場した時、それは単なる計算機ではなく、思考の代替物となりうるものとして「電子頭脳」と呼ばれていた。この「第二の頭脳」の発展が人間の生活を大きく変容させてきた。しかし、より重要なことは、それによって人間観が大きく変わってきたことである。計算機が頭脳ならば、人間の心の働きもつまるところは計算であるといえるのか。この講義では、人間とコンピュータの関係に関わる諸問題を取り上げて考察する。
講義計画  わたしたちは日頃なにげなく、多くの翻訳書を読んだりして外国の事情について情報を得ています。また、外国の人に日本の事情を理解してもらおうと、悪戦苦闘することもあります。しかし、翻訳するということ、あるいは翻訳を通して何かを理解するとはどういうことなのでしょうか。俳句の翻訳というものがありますが、俳句や詩はそもそも翻訳可能なのか、と疑問視する人もいます。それならば、俳句のような芸術的作品でなければこのような問題は起こらないのでしょうか。現代日本の状況だけを見ていると、そこには何も問題がないように思えますが、鎖国していた日本が西洋の科学的知識に初めて接したときを考えてみると話はそれほど単純ではありません。また、最近では技術が進んで、自動翻訳システムなるものがありますが、機械が翻訳するなどということはそもそも可能なのでしょうか。
 このように、翻訳や理解をめぐってはいろいろと興味深い問題があります。この講義ではこうした問題をいくつか取り出して人間と機械のちがいについてみなさんと一緒に考えてみたいと思います。具体的スケジュールは、以下の通り。

1.序 「自動翻訳機械があったらいいな!」
2.「対応表を覚えているだけではだめ!」−辞書と文法規則−
3.自然言語を処理するには文章解析をしなければならない
4.意味を見つける。しかし意味とは何か?
5.古典的AI研究はなぜうまくいかないのか?−「常識は難しい!」−
6.人間はどのように文を理解しているのか?文の意味と発話の解釈
7.(ノイマン型)コンピュータはどんな仕掛けで働くのか?
8.フレーム問題をこなし、様々な推論を行う
9.言葉は事実を描写しているだけではない −言語行為論−
10.言葉は世界を規定する
11.翻訳と翻案 どれほどちがう?
12.理解と受容 翻訳過程は自己変革過程である!
評価方法 主としてレポート又は試験の成績による。
テキスト 特に使用しない。講義中に参考文献をあげるのでそれを各自読んで講義で不足する分を補って欲しい。
その他