南山大学

 
指定
期間
春学期
単位
年次
1〜4
担当者
江本 純
他の科目との関連
履修対象学科
副題 実験を通して“生きている”ということを考える
講義内容  「細胞は死なない」と言ったら、皆さんはどのように感じますか。私たちは「生物はみんな死ぬ」と教わってきました。でも考えてみてください。私たちはすべて細胞でできています。その細胞は最初1個の受精卵でした。この受精卵は母親の生殖細胞の1個が、死ぬことなしに精子と一緒になることで次の世代の出発点となるわけで、細胞は死なずに新しい個体の誕生として引き継がれていきます。究極的に言いますと、40億年前に誕生した最初の生命としての細胞は、一度も死ぬことなしに次世代へと受け継がれ、現在の私たち生物の細胞へと変化してきたわけです。このように理解すると、細胞が生きているとはどうゆうことか、細胞の機能とはどんなものかという問題はたいへん興味深いものだということに気づくでしょう。
 この授業は、文科系の皆さんにもこのような問題を理解していただくために、細胞の基本的な機能に焦点を当てた生物学実験をふんだんに取り入れたものです。自分で実験することで、これまで苦手と感じてきた生物学の基礎知識が自然に身につくように構成されています。
 春学期の基礎生物学セミナーAでは、生物学の基礎である細胞の機能を中心に、生物学から見た“生と死”の問題を考えていきます。また電子顕微鏡によるミクロの世界の観察や動物の解剖も準備しています。
 皆さんの世紀「21世紀」は“バイオの時代”でもあります。“バイオ技術”は、私たちの生活・文化・精神を今まさに大きく変えようとしています。文科系の皆さんにとっても今までは“生物学”という遠い世界だったものが“バイオ”となって押し寄せています。これからの皆さんには、生物学の基礎知識は大変重要なものになります。是非とも受講することを勧めます。
講義計画 1.実験における諸注意、顕微鏡の操作、スケッチの方法
2.細胞の構造:オオカナダモの表皮細胞
3.細胞は何をしているのか
  個体発生における生と死:ウニの発生
4.細胞の基本機能:体細胞分裂
5.多細胞動物の細胞分化:ヒドラ
6.電子顕微鏡:電子顕微鏡の構造と試料作製
7.電子顕微鏡:操作と写真撮影
8.原生動物と共生:シロアリの腸内共生微生物
9.遺伝子DNAの抽出(タラの精巣)
10.植物色素の分析:クロマトグラフィの原理と実験
11.脊椎動物の解剖:ウシガエルの内部形態
12.脊椎動物の解剖:ウシガエルの筋肉系
13.脊椎動物の解剖:ウシガエルの骨格系
評価方法 実験レポート
テキスト 実験マニュアルは生物学教室で準備します
その他