南山大学

 
指定
期間
通年
単位
年次
3
担当者
坂井 信三
他の科目との関連
他学科履修 不可
副題
講義内容  数百万年におよぶ進化の歴史をとおして、人類は他の地球生命には見られない独特の生活形態を形成し、発展させてきた。それが今日われわれを生かしている文化である。人類文化学演習Iは、そのような人類の生き方としての文化を、歴史、生活技術、思想、社会、宗教など様々な切り口から研究し、人類の自己理解を深めることを目的とする。また、人類の文化はたんに過去の産物ではなく、歴史的な形成物としてわれわれ自身が次の世代に受け継がせていくべきものである。したがって人類文化の今日的課題と次世代の子どもたちに継承させる将来像を考えさせ、討論させることもこの演習の課題のひとつとなる。
講義計画 具体的なテーマは、「大西洋奴隷貿易と西アフリカの社会」とする。
 アフリカが今日私たちの世界の一部をなしていることはいうまでもないが、その現状は私たちの日常生活からはかけ離れている。干ばつや飢饉、そして国際経済のひずみのなかで、アフリカ諸国は独立以来経済的困難に直面してきたが、その危機的様相は今や国家という機構自体の機能不全にまで進んでいるようにみえる。事態をここまで悪化させた理由をアフリカの人々のせいにするのでなく、「私たちの世界」の問題として理解するには、アフリカがどのような経緯で世界社会に参与し、その中でどのような地位と役割を与えられてきたのかを知ることが不可欠である。
 大きな問題点は、いわゆる大西洋奴隷貿易と植民地支配、そして独立以後の開発・援助のあり方にしぼられるだろう。来年度はそのうち16世紀から19世紀まで続いた大西洋奴隷貿易に焦点をあて、近代ヨーロッパ世界の成立の、いわば踏み台になったアフリカの歴史を、西アフリカの場合について研究したい。また、アメリカ大陸にわたった黒人奴隷たちの歴史にも関心を向けたいと思っている。
 春学期は共通のテキストによって基礎知識を身につけ、秋学期はいくつかのグループに分かれて関心のあるテーマに沿って共同研究をし、発表する。
評価方法 ゼミへの参加の姿勢と、各学期末レポートによる。
テキスト 池本幸三ほか著『近代世界と奴隷制──大西洋システムの中で──』(人文書院)予定。
その他