南山大学

 
指定
期間
春学期
夏期後半
秋学期
単位
年次
2〜4
担当者
吉田 竹也
他の科目との関連 かならず、同一担当者のIとIIを通年で履修すること。
履修対象学科 不可(但し旧人類学科は可)
副題
講義内容 〈文化人類学フィールドワークI〉
 文化人類学という学問の特徴は、文献研究の成果を、自身の現地調査での資料とつきあわせて、新たな議論の局面を切り開いていくところにある。授業では、まず文献研究によって実地調査の場所とテーマを絞り込み、テーマに適合した調査方法を学んだのち、全員で短期間の実地調査をおこなう。共同作業で情報の収集と分析をおこなう手法を学ぶことも、この授業の大切な課題である。
〈文化人類学フィールドワークII〉
「文化人類学フィールドワークI」での学習と現地調査の成果をもとに、そこで得た資料をあらためて文献研究とつきあわせ、討論・分析し、共同でリポートや報告書にまとめる過程を体験する。
講義計画  文化人類学の調査は、個人もしくは少人数での参与観察とインタビューを比較的長期にわたっておこなうことに特徴がある。もっとも長期の調査を授業でおこなうにはさまざまな困難が伴う。そこでこの授業では、少人数のグループ学習のかたちで、まず春学期に学内で事前の学習を各自の発表をもとにおこなったあとに、夏期に約1週間の調査を学外授業としておこなうことにする。なお調査やそれに伴う研究に関わる出費(旅費、滞在費、資料費など)はすべて履修者の個人負担となる。また調査をやり放しで終了するフィールドワークなどありえないので、秋学期の資料整理作業(文化人類学フィールドワークIIのサブワーク)への参加を義務づける。以上の点を了承し、下記の注意点をよく読んだ上で登録すること。なお登録前の事前説明会に参加した者に履修を認める。
 本来この授業は、各自が作成した研究計画案を全員で検討し、研究テーマや調査地を選定するところからはじめるのだが、今年度は奄美・沖永良部島の1村落をあらかじめ調査地の第一候補としておきたいと考える。まず「フィールドワークI」では、デスクワークとフィールドワークおよびその後の研究についての計画を立て、全員で分担しながら、調査前に必要な知識や調査の方法について勉強し、結果をリポートとして提出する。
 学外授業は、8月末あるいは9月上旬の1週間を予定している。現地集合・現地解散とする。もっとも履修者の都合にも配慮するので、正確な日程は後日相談して決める。なお参考までに昨年度の授業の場合について触れると、現地(沖永良部島)での滞在費は約2万円(公民館を間借りし、自炊)、往復の船運賃が約3万円であった。なお、この学外授業の前半部分は「フィールドワークI」の、後半部分は「フィールドワークII」の授業に、それぞれ充当する実習だと考えてほしい。
 秋の「フィールドワークII」では、春学期での事前のデスクワークと学外でのフィールドワークの成果とを踏まえつつ、これにあらたな事後的学習を総合したかたちで、各自の発表をおこない、既存の研究にたいして自分たちが何をおこなったのかを評価していく。なおフィールドワークの資料の整理は、グループの作業として授業の外でおこなうことにする予定である。そして一定の段階で研究成果をとりまとめる。
評価方法  上記の一連の作業に対する取り組み方とリポートを総合的に判断して、IとIIそれぞれの評価を出す。調査に当たっては、インタヴューの際のエチケットや人との接し方、団体行動での振る舞いなどが、机上の勉強よりも重要であり、この点も評価の対象とする。

【そ の 他】〈注意点〉
・授業の性格上、多人数に履修を認めることは不可能である。履修希望者が適正数をこえる場合は、事前説明会での熱意、面接やリポートなどを基準として、履修者を絞り込む作業をおこなう可能性がある。あらかじめこの点は覚悟しておいてほしい。
・履修を希望する者は、(1)授業担当教員による事前説明会に出席し、(2)その際に指定された方法で予備の登録をしておくこと。また(3)指定された期日までに、フィールドワークのテーマや事前と事後のデスクワークの見通しなどに触れた研究計画案を作成し、指定の方法で担当教員に提出すること。これらの要件を満たさなかった者には履修を認めない。
・この授業の趣旨は、デスクワークとフィールドワークの往復作業を、最初のステップから共同で体験することにある。通常の授業以上に履修者の負担は大きいし(多大の宿題や予習は覚悟すること)、集団行動ゆえの困難も予想される。中途半端な気持ちで履修した者が、授業の円滑な進行を妨害する恐れもある。物見遊山的な参加者や、目的意識の不明確な者、共同作業の苦手な者は登録しないでほしい。逆に時間と労力を惜しまず主体的に取り組む者、授業が終わった後にも任意でさらに継続的な作業に取り組もうとする者を歓迎する。
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その他