24636 日本文化史C1
|
選 |
|
秋学期 |
|
2 |
|
2〜4 |
|
阿部 泰郎 |
他の科目との関連 | |
他学科履修 | 可 |
副題 | 日本の宗教学や民族学においてこれまで主題にされることの少なかった女性の位置と役割を、ジェンダー論と比較宗教学の視点から考察することによって、日本人の宗教伝統とエートスを再検討する。 |
講義内容 | 中世日本の世界では、性による男/女の区分や差別は、どのような形で存在したのか。それは今日の社会的・文化的な性別および性による役割分担とは、大いに異なっていた。その様相は、歴史資料の上でよりも、むしろ文芸や伝承の世界のなかでこそ、鮮やかに捉えられるだろう。今回は、中世独特の男/女の性のありようの多様性や性のゆらぎを、また、両者の差別や境界を越境し超越しようとする運動を、芸能や物語・説話から見いだし読みといて、それが成り立つ宗教的な背景や世界観、あるいはその行為が生みだすところの、現実を超えた“聖なるもの”の姿をうかがいみたい。 |
講義計画 | 1、女人禁制と結界破り──結界を越えようとするトラン尼たち 法然の女人往生の説法から、比叡山・高野山・金峯山などの霊山寺社における女人禁制の様相とその縁起伝承を明らかにし、そこに共通して登場する伝承上の女性像に注目。 2、異性装する芸能者と芸能──性を越えようとする芸能者たち 中世の宗教者および芸能者のなかで、異性装により性を転換させることで活動する持者や白拍子などを対象として、その実態を探りつつ彼らの宗教芸能の担ったものを明らかにする。 3、性の交換と転換──物語における性の越境 『とりかへばや』を代表とする一連の中世物語は、主人公が本来の性と異なった性を装うことにより生ずる恋愛などのドラマを趣向とする。『有明の別れ』『稚児今』『新蔵人物語』などの性を越境する物語の試みから、中世人の欲望と幻想のありようを探る。 |
評価方法 | 講義中に提示した課題によるレポートによる絶対評価と平常点。 |
テキスト | 講義に際して当方で資料プリントを用意する。 (参考書)阿部泰郎『湯屋の皇后──中世の性と聖なるもの』名古屋大学出版会(1998) |
その他 |