南山大学

 
指定
期間
春学期
単位
年次
3・4
担当者
砂山 幸雄
他の科目との関連
他学科履修
副題 思想史から見た中国の近代化とナショナリズム
講義内容  20世紀前半の中国の政治変動を貫く重要な動因の一つであるナショナリズムを軸として、各政治勢力、知識人集団によるその内容の異同、時期による変化、社会変動との関連を論じる。特に南京国民政府樹立の過程、および抗日戦争期における国民党、共産党両政権の政治権力としての特質の比較等を通じて、中国ナショナリズムの歴史的な意義と、その後に引き継がれた課題について考える。
講義計画  近現代中国における変動のダイナミクスの一つは、新しい思想が改革や革命の運動を突き動かし、また運動の挫折や発展がさらに新しい思想を生み出すというところにある。この講義では、アヘン戦争に始まる中華的世界秩序の崩壊のプロセスと、20世紀前半のあたらしいナショナリズムの発展過程を、各時代を生きた代表的な知識人や政治指導者の思想を通して概観していく。
 授業は以下のようなテーマとそれにかかわる人物群を中心に、各2回程度で論じていく。
 (1)中華的世界秩序の動揺──アヘン戦争と魏源──
 (2)中華的世界秩序の崩壊と洋務運動──李鴻章を中心に──
 (3)変法の思想と運動──康有為・梁啓超・厳復──
 (4)辛亥革命の思想と運動──章炳麟・孫文──
 (5)五四運動期の伝統批判とマルクス主義の受容──陳独秀・李大釘・胡適・梁漱溟──
 (6)ナショナリズムの二つのかたち──毛沢東と蒋介石──
評価方法  原則として学期末のレポートにより評価する。授業の展開により、別途小テストないし小レポートを課すことがある。
テキスト テキストは用いない。必要な資料はプリントして講義の際に配布する。

【そ の 他】 半期だけの授業なので、中国近現代史の大きな流れは以下のような概説書を読むことで補ってほしい。中国近現代史全般に関しては、やや古いが小島晋治・丸山松幸『中国近現代史』(岩波新書〔黄336〕、1986年)を最良の概説書として薦める。近代史では並木頼寿・井上裕正『世界の歴史19 中華帝国の危機』(中央公論社、1997年)が新しい研究成果を取り込んでバランスよく概説している。中華民国期については横山宏章『中華民国』(中公新書〔1394〕、1997年)の個性的な分析がおもしろい。
その他