南山大学

 
指定
期間
4単位
単位
通年
担当者
大 塚 達 朗

 〔縄紋土器「対化」関係論〕
 東北地方に栄えた亀ケ岡式土器を特徴とする亀ケ岡式土器文化すなわち亀ケ岡文化はどのような実質を備えた文化なのだろうか。このような問題設定は従来から多くの研究者によってなされ、解答を求め続けられてきた。しかし、納得いくような解答は見つかっていないようである。
 その原因は、亀ケ岡式土器を特徴とする亀ケ岡文化を「独立自存体」と決めつけてきたからである、と思えてならない。私見では、亀ケ岡文化は、「独立自存体」などではなく、関東地方の安行式土器文化と「対化」することが契機となり相互変容をくり返すことで、それぞれの独自性・独特性がある方向付けられ発揮された。その一対の一方の文化として存立していた文化であると考えられる。
 したがって、重要なのは「対化」という事態である。本講義では、この「対化」という事態を認定した具体的な認識プロセスや資料操作の手続きを順を追って講義する。さらに、この事態は、日本列島の先史文化を再吟味する際にきわめて肝要な事柄であることを講義し、かつ、環日本海先史土器文化論の序であることを述べてしめくくりたい。