南山大学

 
指定
期間
4単位
単位
通年
担当者
鈴 木 宗 徳

 〔現代ドイツの政治的・社会的課題〕
 講義の前半では、現代ドイツの政治制度と、ドイツが直面する現在の政治的・社会的課題について概観する。後半では、20世紀ドイツの主たる政治思想および社会理論を紹介し、ドイツにおいて、政治と社会の領域で、どのような問題提起がなされ、どのような理論的処方箋が与えられてきたのかを検討する。

 〔ハーバーマスの政治思想〕
 ドイツ近代社会が辿った歴史的に特殊な運命が、どのような政治風土を生み出したのかを、政治思想の諸学説を検討しつつ、明らかにする。特にマックス・ウェーバーやカール・シュミットの権力政治のモデルがどのような背景のもとで生まれたのか、そして、戦後の政治思想がナチズムの負の遺産とどのように対決してきたのかを、検討する。さらに、現在の政治学の現代的課題との取り組みについても、触れることにする。

 テキストはとくに用いないが、授業で中心的にとりあげる『公共性の構造転換』(ハーバーマス著、細谷貞雄・山田正行訳、未來社)を読むことを、強く勧める。そのほかに、フランクフルト学派第一世代(アドルノ、ホルクハイマー、フロム、マルクーゼ)の著作やハーバーマスの論争相手(ポパー、ルーマン、フーコー)の著作、ハーバーマスが依拠する同時代の思想家(アーペル、オッフェ、ホネット)の著作などを授業中に紹介する。