南山大学

 
指定
期間
4単位
単位
通年
担当者
水 谷 重 秋

 〔財政学の理論的基礎としての厚生経済学〕
 【講義内容】
 現代厚生経済学の主要な論点を論じる。
 【講義計画】
 旧厚生経済学、新厚生経済学、近代厚生経済学のそれぞれを比較しながら、現代厚生経済学の必要性を論じる。
1.旧厚生経済学(Pigou厚生経済学)とその問題点:功利主義哲学に基づき、効用の測定可能性と個人間比較可能性を前提に、国民所得の成長・安定と分配の平等化を実現する条件を明らかにしようとしたPigou厚生経済学の意義と問題点を明らかにする。
2.新厚生経済学とその限界:新厚生経済学は、効用の測定可能性と個人間比較可能性を排除することによって、市場における競争的均衡とパレート最適という価値判断との関わりを明確にする「厚生経済学の基本定理」を導出する。しかし、新厚生経済学は分配問題を研究領域から排除したため偏頗な理論となってしまった。
3.現代厚生経済学と社会的選択の理論:伝統的厚生経済学の反省の上に立ち、真に意義ある厚生経済学とはどうあるべきかを探るのが現代の厚生経済学であり、厚生経済学の哲学的基盤から、厚生経済学の目的にまで遡って再考察を行う。さらに個人の選好を社会全体としての選好にまとめあげる方法についての考察も合わせ行う。
 【評価方法】
 期末に提出させるレポートの出来具合を見て判断する。
 【テキスト】
 そのときどきに紹介する。