22326 現代の文化人類学B
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選 |
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夏期前半 |
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2 |
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2〜4 |
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今村 薫 |
他の科目との関連 | |
他学科履修 | 可 |
副題 | 現代に生きる狩猟採集民 |
講義内容 | 人もまた地球に生きる生物の一員であり、自然環境の中で社会や文化を築いてきた。ヒト科の生物の出現とともに始まった人類の歴史500万年のうち、農耕が行われるようになったのはわずか1万年前のことである。産業社会に入ったのは、たかだか300〜400年前にすぎない。すなわち、人類の歴史の99%以上の期間において、狩猟採集生活が唯一の生活様式だったのである。 農業社会に先立つ自然社会(狩猟採集社会)は、その後に続く人類文化の飛躍的発展を準備した、いわば人類史の根幹の社会である。有節言語やインセストの禁忌、家族や親族などの諸制度、これらの制度を利用した集団間の連帯形成システム、そして物資やサービスの交換ネットワークの大規模な展開などは、人類に固有な文化的特徴だといわれている。これらの特徴の根幹部分は、いずれも人類が長い狩猟採集生活を通じて築きあげてきたものである。 現代の狩猟採集民はわれわれの同時代人であり、けっして旧石器時代さながらの生活を送っているわけではない。過去においても周辺に住む農耕民や牧畜民の影響を受けてきており、現在は西欧文明の影響により、著しい近代化、文化変容を遂げている。この講義では、生態人類学的な視点を説明するとともに、狩猟採集民社会の特徴や近代化にともなう問題点を考察する。 |
講義計画 | まず、狩猟採集社会を研究する方法論の柱である生態人類学的ものの見方について講義する。つづいて、現代の狩猟採集社会に共通する特徴を論じる。さらに、南部アフリカのカラハリ砂漠に住む狩猟採集民ブッシュマンの生活と文化を具体的に紹介する。講義の後半では、文化変容のプロセスと問題点について考察する。 1.生態人類学とは 2.世界の狩猟採集民 3.狩猟採集生活の生態学的条件 4.狩猟採集社会の可塑性 5.アフリカの狩猟採集民ブッシュマンの歴史と言語 6.ブッシュマンの社会と文化 7.ジェンダーからみた狩猟採集社会 8.狩猟採集社会と他民族の関係 9.近代化の波と狩猟採集社会 |
評価方法 | 毎回の講義で提出するレポートの内容で評価します。 |
テキスト | 参考図書: (1)「講座・生態人類学1 カラハリ狩猟採集民──過去と現在」田中二郎編、京都大学学術出版会 (2)「最後の狩猟採集民──歴史の流れとブッシュマン」田中二郎著、どうぶつ社 |
その他 |