南山大学

 
指定
期間
春学期
単位
年次
2〜4
担当者
青柳 宏
他の科目との関連 「人類文化学基礎論B(旧「言語論」)」、「言語学概論A(旧「人文学基礎論(言語学入門)」)」、「統語論(旧「言語と知識(統語論)」)」、「文法と意味(旧「言語と知識(文法と意味)」)」
などの科目を既習、または並行履修しており、理論言語学の基礎的な知識を有していること。
他学科履修
副題 ハとガの区別は英語にもあるか?
講義内容  専門家が書いた文法書でも混同(あるいは、誤った同一視)されていることが多い主題(Topic)と主語(Subject)について考える。この混同の主な原因は、英語をはじめとする多くの言語で両者が外見上区別できないことにあると思われる。ところが、日本語や韓国語には主題を表すハと主格を表すガがあり、両者は明確に区別される。たとえば、
( i )  John is running the track.
という英文が与えられたとすると、それを和訳するとき、
(i i)  a.  ジョンが運動場を走っている。
   b.  ジョンは運動場を走っている。
のどちらを選ぶかは文脈の助けなくしては決められない。しかし、つぎのような文脈が与えられたとすると、
(iii)  a.  Oh, look!  John is running the track!
   b.  Q:  What is John doing now?
        A:  John is running the track.
(iii)aに対しては(ii)aを、(iii)bの質問に対する答えとしては(ii)bを躊躇なく選択するであろう。つまり、このことは、「英語にも主題と主語の区別が存在する」ことを暗示している。そこで、本講義では、主題と主語が明示的に区別されている日本語や韓国語とされていない英語の両方を観察することによって、主題と主語の本質を明らかにし、両者は普遍的に区別されるべきものである(つまり、副題の答えはイエスである)ことを示したい。
講義計画  つぎのようなトピックを順次取扱う予定である。
( i ) ハとガの解釈と分布
(i i) 述語の種類(Individual-level vs. Stage-level)と主題、主語の解釈
(iii) 総称文(Generic sentence)と存在文(Existential sentence)
(iv) 裸名詞句(Bare NPs)と不定名詞句(Indefinite NPs)の解釈と分布
評価方法 期末テスト、小課題、クラスへの貢献度などを総合的に加味して評価する。
テキスト 各種論文のプリント。
その他