南山大学

 
指定
期間
秋学期
単位
年次
2〜4
担当者
辻本 裕成
他の科目との関連
他学科履修
副題 中古・中世における家族関係・主従関係・性関係と物語・日記文学
講義内容 文献学に基礎をおいて、王朝の作り物語の系譜のうえに立つ、またそれに関連するジャンルの文学について講じる。引用関係を厳密に把握したうえで、テキストの文学性を明らかにする方面と、作品の成立と享受の環境を検討したうえでテキストの文学性を明らかにする方面と、二つのアスペクトから件のジャンルと作品について考究する。
講義計画  古典文学を考える上で、現在とは違った種々の人間関係のあり方を念頭に置くことは極めて重要であるが、それらは現在人があまり経験し得ない人間関係であるがゆえに、つい読み落としてしまいがちである。本講義では、それらの人間関係のうち、次の諸テーマについて、各3回完結見当で授業を進める。

乳母の役割と王朝文学・・・貴族達は、母親によって育てられることは極めて稀で、そう上流でない人でも多くは乳母によって養育された。吉海直人氏らの研究に従いながら、源氏物語ほかの作品に現れる乳母の役割を考える。
召人の役割と王朝文学・・・貴族達は、多く自分自身または血縁の女性に仕える女房と恒常的な性関係を結んでいた。これらの女性を召人と呼ぶ。召人の姿を、源氏物語他の作品から読み取る。
男色と古典文学・・・平安末期頃から、日本では男色が流行する。男色に関する史実を簡単に述べた後、『石清水物語』『風に紅葉』を男色の視点から読んでみる。
『讃岐典侍日記』と『とはずがたり』・・・乳母、召人とどこか重なる人生を送った讃岐典侍、後深草院二条の二人を、その自伝的作品から論じる。
評価方法 学期末のレポートによる。学期中に小提出物の提出を課し、それを加味する。
テキスト プリントを配布する。
その他