南山大学

 
指定
期間
通年
単位
年次
3
担当者
宮川 佳三
他の科目との関連 国際関係論の基礎(日本とアメリカ)、日米関係論
他学科履修 不可
副題 「国際社会に於けるアメリカと日本(1)」
講義内容  英語学、英語教育論、英米文学、コミュニケーション論、など英語に関わる文化、あるいはアメリカの歴史、政治、外交、経済、社会などのアメリカの地域研究や国際関係論などの領域にわたる数多くの演習から一つを選択する。テキストの講読、担当者の講義、受講生による口頭発表、質疑応答、討論等を通して各学問分野の基礎的概念と方法論について理解を深めるとともにその分野についての広い知識を得る。
講義計画  21世紀に入った国際社会に於ける日本の有り様を考えるための基礎作業が私のゼミナールの主たる目的であります。特に国際社会に於ける日本の貢献に期待が向けられている。国内に於いてそれに関する議論が活発に行われ始めている。議論の中に積極的な貢献へのためらいがあります。特にそうした貢献が日本の軍事的なそれへであることに、国の中においても国の外においても心配や警戒がある。一体どこに原因があるのだろうか?
 この問に答えるためには、19世紀及20世紀の国際社会に於いて日本はどのような関係を対外的に持つようになったのかを知る必要があります。特に日本が国際社会に対してその扉を開けることになった事情を国際的な政治や経済の面から考えてみることが必要であります。更に言えば、アメリカとの関係をぬきに日本と国際社会の関係を考えることはできません。
 19世紀末から20世紀における日本の成長・発展を考える時に、アメリカを色々な点で意識したことを知ることは大事なことです。日本の対外行動はアメリカとの関係で行われたことがとても大きいと思います。特にアメリカと戦争をせざるを得なくなったことそしてその戦争に敗北したことは日本のアジア太平洋戦争後の日本の国際社会への関わり方を考える時にとても大きな意味を持っていると思われます。
 このゼミナールではアメリカと日本の歴史を対外関係の面で理解するようにします。そうすることにより、21世紀の日本のあるべき対外行動を考えるヒントが得られるものと思います。
 常日頃国際社会で起こっていることに敏感であって欲しいと思います。
 春学期では「パックス・アメリカーナの時代」に向かう18世紀・19世紀のアメリカの発展・成長を国際政治・経済の中で位置づける。建国期のワシントン、アダムズ、ジェファーソン大統領達の外交観、モンロー・ドクトリン、マニフェスト・デスティニー、門戸開放政策がいかなる国際関係の中で打ち出され、遂行されてきたかを考える。ヨーロッパに対する、アジアに対する、又ラテン・アメリカに対するアメリカの対外関係の発展を検討する。世紀転換期の国際政治・経済の中でアメリカがいかなる状態にあったかを考える。
 秋学期では20世紀──「アメリカの世紀」──、つまり、米西戦争をきっかけにしたアメリカ帝国主義の台頭から第二次大戦・太平洋戦争の終わり、冷戦の開始と冷戦の展開、ベトナム戦争、脱冷戦へ至る戦後のアメリカ外交のダイナミズムを取り上げる。又こうした対外関係のアメリカ社会への影響、大統領と外交・国家安全保障政策決定・遂行の関係にも目を向ける。
 アメリカ外交の展開と並行して、日本の対外関係を歴史的に考える。
 アメリカの外交・日本の外交の歩みを歴史的にたどるが、同時に今日のアメリカ・日本の外交の動き、国際政治の動きについても問題意識を十分持って、毎時ゼミ生の間で議論してもらう。
評価方法 論文の分担発表、クラスでの貢献、レポート、定期試験を総合的に評価する。
テキスト アメリカの外交(史)及び日米関係の歴史を扱った英文論文。
有賀貞也編『概説アメリカ外交史』(有斐閣)
有賀貞也編『概説日米関係史』(有斐閣)

【そ の 他】参考図書
Patterson他 American Foreign Policy I(Heath)
アーネスト・メイ編『アメリカの外交』(東大出版会)
大下尚一他編『史料が語るアメリカ』(有斐閣)
Stephen E. Ambrose. Rise to Globalism.
その他