南山大学

 
指定
期間
通年
単位
年次
3
担当者
丸岡 高弘
他の科目との関連
他学科履修 不可
副題 フランスにおける文化的普遍主義と個別主義の葛藤
講義内容 学校でスカーフを着用したために退学処分を受ける──これは規律の厳しい日本の学校の話ではなく、「自由の国」フランスにおける出来事である。フランスでは「政教分離原則」が厳格に適用され、公立学校で宗教的印を身につけることが禁止されている(と言われている)。一方、現在フランスに400万人程度いるといわれるイスラム系住民の間ではイスラム教復興運動が盛んになっているが、イスラム教では女性が頭髪を隠すスカーフを着用することが義務になっている(と言われている)。したがってこのスカーフ騒動は異文化共存の困難さをもっとも象徴的に表している事件であると言えるが、本演習ではこの問題を中心的なトピックスにすえて、そこにフランスのどのような文明観、社会観が反映しているかを多面的に検討したい。この問題はフランスが激しい葛藤のすえに実現した政教分離原則と宗教の復権、共同体主義をきらう普遍主義的哲学とそれに対する多文化主義的相対主義、女性解放思想と伝統的な女性観、根強い人種差別主義的感情と反人種別主義などさまざまな問題が関係している。こうした問題を新聞・雑誌記事やイスラム団体その他のインターネット・ホームページ、18世紀以来のフランスの様々な思想家の文明や文化をめぐる著述など多面的なテクストを利用して取り扱いたい。
講義計画 春学期は講義を中心にして、学生諸君にテクストを分担しておこなっていただく報告をまじえて授業を進行させるという形式をとる。秋学期は諸君が自分で選んだテーマで発表をおこなっていただく。テーマの選択は春学期の間に教員と合議の上、決定する。私の専門分野や私自身が関心をもっているテーマとして19世紀の文学(あるいは文学と社会の関係)や修辞学(美文術としてのそれだけでなく説得の技術としての修辞学)、現代フランスの社会問題などがあるが、私にどのようなテーマが指導可能であるか、直接研究室に相談に来てもらいたい。秋学期の授業は諸君の発表と発表に対する諸君の質疑応答が中心になるので、意欲的な授業参加が望まれる。
評価方法 授業への参加と期末に課されるレポート
テキスト コピーにて適宜配布
その他