南山大学

 
指定
期間
夏期前半
単位
年次
2〜4
担当者
小巻 泰之
他の科目との関連
他学科履修
副題 デフレの経済学
講義内容  1960年代の高度成長期は「アジアの奇跡」と言われ、80年代後半には「ジャパン・アズ・ナンバーワン」とまで評価され、日本はバブル期に頂点に立った。終身雇用など日本型雇用慣行、系列下請け関係、メーンバンク制度、株式持合い、長期顧客関係、行政指導など、日本型経済システムが成功したとして賞賛を浴びた。文字通り日本が世界の大国であると思えた時期があった。ほんの10年ちょっと前のことである。しかし、90年代に入ってバブルが崩壊するとともに、日本はその地位から失脚し、日本的経済システムも不良品のような扱いを受けている。また、景気の低迷は長期間にわたり、「失われた10年」を超える状況にある。一体、何が起こったのであろうか。
 経済変動の究明は、経済学の大きな最終目標の一つである。本講義では、戦後の日本経済、特に、戦後初のデフレに陥った90年代を題材に、経済の循環的変動の諸要因について学ぶ。
 「経済変動論I」では、最初に景気の定義・経済変動の諸要因について講義を行った後、戦後の日本経済を題材に経済変動の諸要因を総需要と総供給モデルを利用し解説する。特に、高度成長が崩壊した原因、ショックに対する政策について、考えてみたい。
 「経済変動論II」では、90年代の日本経済の課題であるデフレ、失業、財政赤字、不良債権などの原因について検討し、その処方箋を考える。
講義計画 経済変動論I 「戦後の日本経済と景気循環」
第1〜4回 景気の変動要因:最終需要、GDP、乗数加速度モデル、在庫モデル
      戦後の日本経済(1):戦後インフレ、ドッジプラン、高度成長前期
第5〜8回 戦後の日本経済(2):なぜ、高度成長は可能となったのか。石油ショックが構造転換点な
      のか
第9〜12回 戦後の日本経済(3):戦後の経済ショック(証券不況、ニクソンショック、石油ショック)
      への対応と後始末
経済変動論II 「失われた10年の真因」
第1〜4回 戦後の日本経済(4):レーガノミクスとプラザ合意、バブルの生成
第5〜8回 90年代の日本経済(1):デフレの問題点
第9〜12回 90年代の日本経済(2):「失われた10年の真因」
評価方法 毎回、講義最終時に小テスト(所要時間60分程度)を行う。最終日に試験を行う。
成績評価は、試験(ウエイト70%)と小テスト(ウエイト30%、各回15%)でおこなう。
テキスト 小巻泰之『入門景気の読み方』ダイヤモンド社
参考書については、授業中に適宜指示する。
その他