南山大学

 
指定
期間
通年
単位
年次
3〜4
担当者
高橋 広次
他の科目との関連
他学科履修 不可
副題 法における正義と思慮
講義内容  リーガル・マインドの根底には、万人に共通して涵養するよう求められる基礎的な「徳」がある。特に法律学、すなわちJurisprudenceを学ぶものは、その語源からも知られるように、”Jus”つまり「正義」と、”Prudentia”つまり「思慮」の徳に深い関わりを有する。この問題を取り扱い、今日なお影響力を持って顧みられているのが、アリストテレスの代表作『ニコマコス倫理学』である。とりわけその第五巻と第六巻は精密に読むと、法律学一般の理解に裨益するところ大なるものがある。中世の神学者トマス・アクィナスが、これに詳しいコメンタールをつけているのは理解を助ける。本演習は、ヨーロッパ法学者の法的思考の源流ともなった古典をじっくり読み、法哲学そして法曹倫理への下地となることを狙いとする。
講義計画  本演習は年間通じて『ニコマコス倫理学』を履修者の間で輪読する方式を取る。各巻に応じて振り分けられた報告分担者は、そのテキスト内容の趣旨を把握してレジュメに沿い説明し、問題提起を行う。なお、報告者に対してはコメンテーターをつけ、履修者間での質疑応答のきっかけを作ってもらう。討議の目的は原典の正確な理解を目指すことと、現代の法問題への応用可能性である。
評価方法  日常の取り組み、およびレポートで評価する(出席回数、演習参加の姿勢、報告および討議の状況から窺えるテキストの理解度、そして学期ごとのレポートによる総合評価)。
テキスト アリストテレス『ニコマコス倫理学』(上)(下)高田三郎訳 岩波文庫
参考書:岩田靖夫『アリストテレスの倫理思想』岩波書店
    ジャン・ダバン『法の一般理論』水波朗訳 創文社
その他