南山大学

 
指定
期間
春学期
単位
年次
1・2
担当者
藤本 哲史
講義題目 現代社会とワーク・ライフ・バランス
開講キャンパス
講義内容 本講義では、「ワーク・ライフ・バランス」をキーワードに、日本とアメリカ社会における家族生活と雇用労働の統合に関する問題点を取り上げ考察する。第一に、両国における現代家族の現状を把握し、家族生活に影響を与える企業の組織風土やジェンダー・イデオロギーの問題、またホクシールドの指摘によるセカンド・シフトやタイム・バインド、ヘイズによるギルト・ギャップ等の問題を取り上げ、働く親たちの葛藤の現状を分析する。また担当者の専門領域と関連させて、日米両国の企業による家族支援政策の展開過程、現状、また問題点等を考察する。
講義計画 講義では、導入として基本概念であるワーク・ライフ・バランスやその他の関連概念についておさえ、ワーク・ライフを取り巻くアメリカと日本の客観的状況を確認する。続いて、これまでの重要な文献の中からいくつか代表的なものを読みながら、ワーク・ライフ・バランスに関わる80年以後のアメリカの経験について検討する。そして、過去20年のアメリカの経験から、日本は何を学びことができるのか、日本の企業に求められるファミリー・フレンドリー施策は何か等について検討する。

1) 現代社会における従業者のワーク・ライフ・バランス:家族社会学と経営学・組織論のアプローチ
2) 関連概念:ワーク・ファミリー・コンフリクト、ファミリー・フレンドリー、ダイバーシティ・マネージメント
3) 80年代以降のアメリカにおける仕事と家族の状況と現代日本の比較:統計資料の分析
4) ワーク・ライフ・バランスとジェンダー・イデオロギー:Hocschild, Second shift (問題分析1)
5) Second shift (問題分析2)
6) 仕事と家庭生活の関係の質的変容:Hocschild, Time bind (問題分析1)
7) Time bind (問題分析2)
8) 職場の構造と働き方の問題:Perlow, Finding time (問題分析1)
9) Finding time (問題分析2)
10) 仕事と子ども、親の罪障感:Hays, The cultural contradictions of motherhood
11) Motherhood(問題分析2)
12) まとめ:企業や政府に求められる支援策、本当のファミリー・フレンドリーとは
評価方法 出席、課題への取り組み状況、クラス討論への参加、および学期末レポートによる総合評価
テキスト Hays, S. 1996. The cultural contradictions of motherhood. New Haven, CT: Yale University Press.
Hochschild, A.R., & Machung, A. 1989. The Second shift: Working Parents and therRevolution at home. New York: Viking
Hochschild, A.R. 1997. The time bind: When work becomes home and home becomes work. New York: Metropolitan Books.
Perlow, Leslie A. 1997. Finding time: How corporations, individuals, and families can benefit from new work practices.
  Ithaca, NY: ILR Press.
これら以外にも、テーマによっては補足的に研究論文を用いる予定。
その他