93710 日本文化特論(日本の社会思想)
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櫻井 進 |
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開講キャンパス | |
講義内容 | (春学期) 現代の国際社会においては各地域の文化的・社会的特質を個別的に理解することが必要であるだけではなく、地域の相互関係を踏まえた理解が求められている。また、文化間の接触と衝突といった事態に含まれるダイナミズムを認識し、文化的・社会的共生のあり方を模索することが枢要の課題となっている。本講義では、そういった認識を踏まえながら、近代世界システム論、ポスト・コロニアリズム、カルチュラル・スタディーズ、ジェンダー論などの理論的研究の持つ意味を議論しながら、一義的な文化的同一性や本質主義に還元しないかたちでの地域研究の方法論を模索する。 (秋学期) 現代日本社会の文化の特質を日本の近代化過程の諸条件を考慮に入れながら分析する。明治以降、日本は急速な近代化を達成したが、それは徳川日本のプロト工業化の前提が存在していたのであり、文化的にもそういった特徴を見いだすことができる。本講義では、近代化を西洋に特有な現象として捉えるのではなく、全社会を画一化・ 均質化しようとする運動として捉現え、その運動が徹底化される歴史的過程の中で発生した文化的・社会的諸問題を検討する。いわゆる大文字の「文化」だけではなく、生活形態に関わる現象も考察の対象として、現代日本社会と文化が抱える問題を浮き彫りにする。 |
講義計画 | (春学期) 第1回 ガイダンス 第2回 地域文化研究の現在:グローバリゼーションのもとでディシプリンや地域をこえた地域研究の方法論の可能性を模索する。 第3回・第4回 世界システム論の批判的検討:ウォラーシュタインの世界システム論を読む 第5回・第6回 地域システムの中の文化的・社会的階層化:批判的知性の可能性ムブルデューを読む 第7回・第8回 開発学からみた地域研究方法論 第9回・第10回 植民地主義とジェンダー:第3世界への視点 第11回・第12回 新たな地域研究方法論の模索:地域と世界をどうつなぐか、階層的・ジェンダー的分断 をどう乗り越えるのか (秋学期) 第1回 ガイダンス 第2回・第3回 「開発」モデルとしての日本の近代化過程:「プロト[前]工業化」過程としての江戸の経済=社会システムを、東アジアのコメ作文化と工業化との関連をも踏まえながら検討する。 第3回・第4回 急速な近代化の生み出す矛盾と葛藤:19世紀後半の産業社会化・経済成長がもたらした国家・社会・経済・文化システムの持つ歴史的特質を検討する。 第5回・第6回 戦前・戦後の日本システムの連続性と非連続性:1930年体制として成立した日本型社会システムの持つ問題点を、日本型社会システムの根源的危機にさらされている「現在」から検討する。 第7回・第8回 戦後高度成長期・バブル経済期の社会と文化:まれに見る均質な社会構造をもたらした戦後社会のかかえる問題点を考察する。 第9回・第10回 現代日本の社会と文化の不安と動揺:映画・アニメ・流行歌などを素材として、現代日本の「人間の危機」を考察する。 第11回・第12回 パネル・ディスカッション「現代日本社会の行方」:第1回から第2回までの講義を踏まえて、現代日本社会のかかえる問題と未来を参加者によるパネル・ディスカッションを行う(公開版)。 |
評価方法 | |
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