Ⅰ.授業の概要
①講義科目名(単位数) |
商法演習(2単位) |
②担当者名 |
黒田 清彦 今泉 邦子 |
③科目の種類 |
法律基本科目・民事系 |
④必須の有無 |
必修 |
⑤配当学年・学期 |
2年(既修者コース:1年)・春学期 |
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⑥授業の概要 |
概要)商法(手形・小切手法を含む、保険・海商法は除く)の理論上・実務上重要な部分について詳細に研究する。商法(会社法)および商法(商取引法)の既習が前提です。 具体的な紛争解決の能力を養うために、事例研究の方法による。①商法全般の重要部分について15回分のテーマを選定し、各テーマ毎に予め事例や判例を配布します。②授業中は、できるだけ多くの受講生に質問するとともに、受講生相互の活発な議論を通じて法的主張が論理的にできるように導きます。③授業の終りには、特に入念に復習すべき点と、次回までの課題を指示します。 (オムニバス形式) (黒田専任教授)会社の設立から、株式、株主総会の招集・議事・議決、議決権の行使、総会決議の瑕疵など株主総会をめぐる諸問題、取締役の義務・責任、選任・解任、代表取締役、監査役、資金調達・合併の問題など会社法の諸問題を検討します。 (今泉専任助教授)商号、営業、商業登記などの商法総則の部分、および商行為の意義や商事売買の規整など商行為法の論点のほか、手形行為の成立要件、他人による手形行為、偽造、権限濫用、除権判決、白地手形の問題等、手形法上の重要問題を検討します。 |
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⑦到達目標 |
1.この授業では「商法(会社法)」および「商法(商取引法)」の両講義で学んだ知識を更に発展させ、それを具体的な事例に適用して争いを解決する力を養うことが期待されます。 2.商法は常に、企業をめぐる多数当事者の利害関係の合理的調整をはかっている。この分野では事案の多角的な分析と、関係者の利害の合理的で均衡のとれた結論を導き出す解釈が要求されます。また、手形・小切手法は体系的一貫性・整合性を特に重視するが、同時に具体的妥当性も常に必要としています。 3.授業は必要な予習と復習をすれば、初学者でも十分についていくことができるように行いますが、授業終了時点では、正確な法知識と共に、上記2.の法的センスも体得していることが期待されます。 |
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⑧成績評価の基準と方法 |
黒田専任教授を本科目の成績評価の責任者とする。成績は、小テストならびに授業中に割り当てられた課題の報告および発言の内容を一定の基準によって、合議の上総合的に評価する方法によります。評価の基準としては、法の規定・制度・理論等に関する理解(殊に、規定や制度の本旨、類推適用の限界、他の規定との体系的連関性、実質的補完関係等に関する理解)の程度と、事実関係を分析し法的に構成する能力を重視します。 |
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⑨教科書 |
鴻常夫『商法総則[新訂第五版]』(弘文堂、1999年) 江頭憲治郎『株式会社・有限会社法[第三版]』(有斐閣、2004年) 田邊光政『最新手形法小切手法[四訂版]』(中央経済社、2000年) 江頭憲治郎『商取引法』(弘文堂、2003年) |
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⑩参考文献・参考資料 |
適宜指示します。 |
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⑪履修条件その他の事項 |
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Ⅱ.授業計画
回 担当 |
①テーマ |
授業内の学修活動 |
④授業時間外の学修活動等 |
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②ねらい・内容 |
③授業方法・工夫 |
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1 黒田 |
会社の意義 |
江頭・15〜39頁。「会社の能力」最判昭45・6・24民集24巻6号625頁。「法人格の否認」最判昭44・2・27民集23巻2号511頁。 |
次回からの報告の担当分担を決めます。 |
前以て判例に目を通しておいて下さい。 |
2 黒田 |
株式会社の設立 |
江頭・49〜103頁。「発起人の権限」最判昭33・10・24民集12巻14号3228頁。「財産的基礎の充実」最判昭61・9・11判時1215号125頁。 |
報告者を中心に意見交換を行います |
同上 |
3 黒田 |
株式 |
江頭・105〜210頁。「取締役会の承認を得ない譲渡制限株式の譲渡」最判平5・3・30民集47巻4号3439頁。「子会社による親会社株式の取得」最判平5・9・9民集47巻7号4814頁。 |
同上 |
同上 |
4 黒田 |
株主総会 |
江頭・243〜293頁。「議決権の代理行使」神戸地尼崎支判平12・3・28判タ1028号288頁。「特別利害関係人」東京地判平9・6・17資料版商事法務161号185頁。 |
同上 |
同上 |
5 黒田 |
取締役 |
江頭・293〜389頁。「取締役の選任・解任」最判平2・4・17民集44巻3号526頁、広島地判平6・11・29判タ884号230頁。「取締役の義務・責任」名古屋地裁判平9.1・20金融商事判例1012号14頁、最判平12・10・10金融商事判例1105号15頁。 |
同上 |
同上 |
6 黒田 |
代表取締役・監査役 |
江頭・320〜328頁、390〜410頁。「代表取締役の解任」最決平10・11・24資料版商事法務178号78頁。「有限会社における表見代表取締役」東京地判平5・1・28金融商事判例938号43頁。「顧問弁護士と監査役の兼任」最判平1・9・19判時1354号149頁。 |
同上 |
同上 |
7 黒田 |
資金調達・合併 |
江頭・523〜617頁、633〜668頁。「新株の不公正発行」名古屋地半田支決平成12・1・19判時1715号90頁。「合併無効原因」最判平5・10・5資料版商事法務116号196頁。 |
同上 |
同上 |
8 今泉 |
商号 |
「商号の保護」最判昭40・ 3・18判夕175号115頁、最判昭50・ 7・10最高判民事裁判集115号261頁、最判昭36・
9・29民集15巻2256頁。「名板貸」最判昭42・ 6・ 6判時487号56頁、最判昭55・ 7・15判時982号144頁。 |
次回からの報告の担当分担を決めます。 |
前以て判例に目を通しておいて下さい。 |
9 今泉 |
営業・営業補助者 |
鴻・121〜193頁。「営業譲渡の意義」最大判昭40・ 9・22判時421号20頁。「表見支配人」最判昭37・ 5・ 1民集16巻1031頁、最判昭59・ 3・29判時1135号125頁。 |
報告者を中心に意見交換を行います。 |
同上 |
10 今泉 |
商業登記 |
鴻・227〜249頁。「商法12条の適用関係」最判昭49・ 3・22判時737号85頁、差戻後の最判昭52・12・23判時880号78頁。「登記官の審査権限」最判昭43・12・24判時548号95頁。 |
同上 |
同上 |
11 今泉 |
商行為法 |
江頭(前掲『商取引法』)・1〜20頁。「商事売買における商品の引渡:荷渡指図書呈示の効力」最判昭和57年・9・7民集36巻8号1527頁。江頭・481〜498頁。「信託受託者の忠実義務」別途指示する。 |
同上 |
同上 |
12 今泉 |
手形行為の成立要件 |
田邊(前掲『最新手形法』)35〜78頁。「手形行為の方式と解釈」最判昭43・12・12民集22巻2963頁、東京高判昭45・
5・27判時601号87頁、大判昭 7・11・19民集11巻2120頁、最判昭47・ 2・10 民集26巻17頁。「手形の交付」最判昭46・11・16民集25巻1173頁。 |
同上 |
同上 |
13 今泉 |
他人による手形行為・手形の譲渡1 |
田邊79〜130頁。「表見代理」最判昭52・12・9金商541号3頁。「受取人欄の変更と裏書の連続」最判昭41・11・10民集20巻9号1697頁。 |
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14 今泉 |
手形の譲渡2 |
田邊131〜148頁。「善意取得」および「悪意の抗弁」最判48・3・22判時702号101頁。 |
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15 今泉 |
白地手形 |
田邊332〜359頁。「白地手形の意義」最判昭31・7・20民集10巻8号1022頁。「白地補充権の濫用」最判昭41・11・10民集20巻9号1756頁。 |
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