南山大学

 
指定
期間
秋学期
単位
年次
2〜4
担当者
SOUSA Domingos
他の科目との関連
他学科履修
副題 恩恵論—恵みに生かされる人間
講義内容 本講は伝統的に「恩恵論」と呼ばれる組織神学の一科目に相当するが、中心課題は、神の恵みとの関わりにおけるキリスト教的人間理解の歴史を学ぶことにある。「恩恵」なる概念が神学の歴史全般に亘って常に重要な意味を持つのは言うまでもないが、本講で対象となる検討事項は、初代教会時代における思想と教理の発展史である。確かに恩恵をめぐる問題はとりわけ宗教改革において中心モチーフとなったが、それはあくまでも西方教会の範疇に限定される論議である。しかし、キリスト教的恩恵論にはそれとは性格の異なる東方教会の思想伝統があることも忘れてはならない。初代教会に注目するのは、まさにこの両者の思想伝統の基本的性格、すなわち、西方神学の恩恵論を決定づけたアウグスティヌスの思想および東方神学の恩恵論を特徴づけたギリシア教父の神化思想がこの時期に確立したからである。したがって本講では、この両思想の歴史的展開を中心に論じたい。
講義計画 1恩恵論の背景となった古代末期の弁神論におけるキリスト教的悪の概念について分析する。
2アウグスティヌスの思想の基礎となった彼個人の人生体験、存在の秩序と人間の自由意思および神の義に関する思想を検討する。
3アウグスティヌスの思想を確立させ、ひいては西方教会の恩恵に関する教理決定の要因となったペラギウス論争について検討する。
4アウグスティヌスの論敵ペラギウスの思想の背景となったギリシャ教父の思想に注目し、その恩恵論の中心概念である神化思想を明らかにしたい。
評価方法 出席状況と学期末定期試験(レポート)の結果などから総合的に判断する。
テキスト 講義録を配布。
その他