南山大学

 
指定
期間
通年+冬期集中
単位
年次
2〜4
担当者
青柳  宏
他の科目との関連 [その他]の<登録に関する条件>参照のこと。
他学科履修 不可
副題
講義内容  文化人類学という学問の特徴は、文献研究の成果を自身の現地調査による資料とつきあわせ、あらたな議論の局面を切り開いてゆくところにある。授業では、まず文献研究によって実地調査のテーマを絞り込み、テーマに適合した調査方法を学んだのち、全員で短期間の実地調査を行う。さらに、実地調査で得た資料をあらためて文献資料とつきあわせ、討論・分析を経て、共同で報告書をまとめる過程を体験する。
講義計画  文化人類学におけるフィールドワークとは、ある特定の地域に一定期間滞在して、その地域住民のさまざまな活動に参加しながら、観察・インタビューなどの形式で調査を行うことである。このクラスでは、韓国釜山市とその近郊に冬季休暇中10日余りホームステイして現地調査を行う(下記の実施要領参照)。
 現地調査を実り多いものとするためには、事前の準備(デスクワーク)が肝要であることは言うまでもない。本クラスでは、春学期と秋学期の大部分をその事前準備にあてる。
 まず、春学期には基礎知識として韓国という国の全体像を概観する。韓国の地理、歴史、言語、文化などの項目について、参加者がみずから調べ、発表し、討論する。また、参加者をその興味に応じて少人数のグループに分け、実地調査における調査計画を立案する。現地調査のテーマとしては、つぎのようなものが考えられる。
(1)韓国人の家族関係
(2)韓国人の年代別対日意識
(3)韓国語のなかの日本語
(4)釜山およびその近郊に残る日本植民地時代の名残
(5)その他韓国文化全般について
 秋学期は、調査グループごとの事前調査を進め、定期的にクラスで発表、討論する。実地調査をスムーズに行うために、補助をお願いするホームステイ先と連絡を取り合うのもこの時期の大切な作業になる。さらに、現地調査出発前に危機管理、健康管理などに関するオリエンテーションも行う。
 最後に、現地調査終了後には、そこで得た資料を整理・分析して、報告書にまとめる仕事が待っている。来年度は実地調査を冬季休暇中に行うので、時間的余裕があまりないが、本クラスの総まとめにあたる重要な作業である。
評価方法  事前調査から現地調査を経て報告書作成までの取り組み方のみならず、グループ内の個人として、どれだけ責任ある行動が取れ、またどれだけグループ全体に貢献できたかを総合的に評価する。

【そ の 他】<現地調査実施要領>
滞在地域: 韓国釜山市とその近郊
期間:   10日間前後(本年度は2005年年末〜2006年年始、冬期休暇期間中)
受入先:  東亜大学校人文科学大学中国日本学部日語日文学科
宿泊先:  同大学で日本語を専攻する学生宅にホームステイ
使用言語: 韓国語、日本語(または、場合によって英語)
費用:   15万円程度(渡航費、ホームステイ宅への謝礼、韓国語・韓国文化講座受講料を含む)
活動予定: 滞在期間中、午前は東亜大にて開講される韓国語・韓国文化講座に参加し、午後にグループによる調査活動を行う。

<登録に関する条件>
・この科目の性格上、通常の授業時間以外にもさまざまな作業のための時間と労力が多大に要求されることを覚悟していること。
・特に海外における実地調査であることをふまえ、個人として自覚を持って責任ある行動を取るのみならず、協調性があり、常にグループにどう貢献できるかを考えられること。
・韓国文化に深い関心があり、本学共通教育科目「韓国朝鮮語I、II」を既習、または並行履修するか、あるいは同等以上の韓国語の能力を持っていること。
これらの条件を満たさない場合には、授業開始後であっても、現地調査への同行を許可しない場合がある。また、
・担当者が実施する事前の説明会(日時は学科合同研究室前の掲示板に発表)に参加し、その指示に従うこと(その際、個人としての現地調査計画書の提出を求めることがある)。
・さらに、受入先にホームステイをお願いする関係上、参加可能な人数が15名前後に限られるので、登録希望者が多数の場合は、以上の条件を満たしていても、選考の結果登録が認められない場合がある、逆に登録希望者が10名以下の場合は、不開講になる場合がある。

<参考文献>
 登録希望者は、つぎのような文献を一読しておくことを勧める。
『朝鮮半島をどう見るか』 木村幹(著) 集英社新書。
『韓国は一個の哲学である』 小倉紀藏(著) 講談社現代新書。
『韓国ドラマ、愛の方程式』 小倉 紀蔵 (著) ポプラ社。
『韓国のナショナリズム』 鄭大均(著) 岩波現代文庫。
『韓国人の歴史観』 黒田 勝弘 (著) 文春新書。
『韓国を食べる—「食」から見た韓国人』 黒田 勝弘 (著)  光文社。
『韓国が死んでも日本に追いつけない18の理由』 百瀬 格 (著) 文春文庫。
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