南山大学

 
指定
期間
秋学期
単位
年次
3・4
担当者
友岡 敏明
他の科目との関連
他学科履修
副題
講義内容  西洋政治思想を形成するヘブライ的要素とゲルマン的要素(これら二要素は政治思想史Aで取り上げた古代ギリシアと古代ローマにおけるヘレニズム的要素と併せて西洋政治思想の三大構成要素をなす)の特徴と、三要素の合成ながら、それぞれの要素に含まれる思想的発展の種子が新たなオリエンテーションのもとで開花する近代政治思想の特徴を概観する。
 近代の思想的な種子はすでに古代・中世に存在したが、その現実の発展は、状況に触発された、そうした種子のラディカルな部分的発展であったと位置づけることができる。ゲルマン的要素の中から「代表」、「能力」、「同意」の観念が発達し、ヘブライ的要素から人間の普遍的価値(「自由」と「平等」)や教会という政治権力とは別個の道徳的権威の存在の主張(「政教分離」と「権力の正統化」の観念)が発展した。また、ヘレニズムの要素からは、国家と政治の自然的な存在を論証する知的遺産を受け継ぎ、これに理論的バックアップを得て弁証された民族国家(ネーション・ステート)が巨大な政治的展開のエネルギーの発現の場となった。近代は、このように新たに登場した国家を舞台として国家と人間の自由・平等という国家を超えた価値(権利)の主張の衝突とその解決の模索として展開する過程である。本講義では、こうした中世から近代、および近代の進展を、生きた原資料に触れながら(原典から抜粋した資料をコピーで配付)、講義を進める。
講義計画 次のようなオーダーによる。
 (1) 政治思想史という学問(対象と方法)
 (2) キリスト教(「神の似像」、「神の子」、「政教分離」)
 (3) アウグスティヌス(神の似像の応用と「地の国」と「神の国」)
 (4) 中世社会(ゲラジウス原理、封建制、)
 (5) ゲルマンの政治的原理とマグナ・カルタ
 (6) トマス・アクイナス(近代に向いた中世政治思想の大成者)
 (7) マキアヴェッリ(国家統一への羨望と新しい君主の提唱)
 (8) 宗教改革家(ルター、カルヴァン)
 (9) 個人と国家の結合の試み=社会契約論(ホッブス、ロック、ルソー)
 (10) 自由主義の変遷=国家消極説から積極説へ(ペイン、ベンサム、ミル、グリーン)
 ⑪ 大衆社会の到来(トクヴィル、オルテガ)
評価方法 日常的な授業への取組みの姿勢、定期成績で総合的に評価する。
テキスト 特に指定せず。
その他