南山大学

 
指定
期間
通年
単位
年次
3
担当者
COURRON David
他の科目との関連
他学科履修 不可
副題  政治、権力と自由
講義内容  イラクへの自衛隊派遣、郵政民営化、首相の靖国神社参拝問題、「神の国」発言、イラクの日本人人質に対する無責任な非難、その家族に罪悪感を抱かせるような態度、日本国憲法第9条の改正問題、様々な増税…これら新聞記事の見出しの間にある共通点は何でしょうか。一見したところ、専門家でない人々、つまり一般市民にとっては、複雑で面白くない話題にすぎないでしょう。それはそうかも知れません。しかしすべては何よりも政治の性質が問題なのです。実際、政府と議会の決定はすべて政治的なものです。そして政治的であるがゆえに、それらの決定は私達のプライベートな日常生活にまで影響(あることをする権利があるか、またはないか)を及ぼしています。
 ところで政治とは何でしょうか。なぜいつもそこにあり、ときには重苦しいと感じる現実なのでしょうか。人々の生活にどう影響を与えているのでしょうか。政治的側面は、「権力」の問題に直面するあらゆる人間社会にとって根本的な条件です。実際、社会生活とは、礼儀または権力者が決めたルールにより課された制限を学ぶことです。こうして武力と緊密につながった権力は民主主義や独裁などの政治制度に具現化され、自由の範囲を広げることもできれば、また逆に自由を完全になくすこともできるのです。
 現代社会における生活は、社会生活の他のあらゆる分野を条件付ける政治的構造に応じて組織され、構成され、展開しています。したがって政治に関心を抱かないのは、市民に課せられた決定の意味を理解するのを断念するようなものです。またその決定の準備への参加も諦めるということです。結果として政治への無関心が、他人に選択を委ねることにより自分の自由が奪われる危険を導くかもしれません。
 「政治」の重要性と、それに対する無関心のリスクを考えるため、日本やフランスなどの具体的な例を挙げながら次の点を一緒に探ってゆきたいと思います。

(1) 「政治」の定義(語源、分析方法、政治の側面)
(2) 権力と国家
(3) イデオロギーと権力(自由主義、社会主義、ナショナリズム、帝国主義、人種優越思想)
(4) 強権政治制度、独裁と全体主義
(5) 民主主義(民主主義の定義、民主主義の現代進展)
(6) 民主社会
  自由(定義、自由の規制、科学技術と自由)
  マスコミの影響(マスコミと権力、マスコミと民主主義、マスコミと倫理)
(7) 政党と圧力団体
講義計画
評価方法 単位取得は主に論文と出席状況により決定するが、学生の積極的参加(各自の研究の進行状況に関する発表で評価)も考慮する。
テキスト Debbasch Charles, Pontier Jean-Marie, Introduction la politique,5 塾e 仕ition, Paris, Dallloz, 2000.
斉藤貴男著、「安心のファシズム」−支配されたがる人びと−岩波新書(新赤版)897、2004年
Documents photocopi市

【そ の 他】(参考文献)
1. Chevallier Jean-Jacques, Carcassonne Guy, Duhamel Olivier, La V塾e R姿ublique 1958-2002,10塾e 仕ition, Paris, Armand Colin, 2002.
2. Ch液elet Fran腔is, Duhamel Olivier, Pisierプelyne, Dictionnaire des oeuvres politiques, l俊e 仕ition, Paris, PUF-Quadrige, collection R伺屍ence, 2001.
3.Pr四otMarcel, Lescuyer Georges, Histoire des id仔s politiques, Paris, Dalloz, 13塾e 仕ition, 1997
4.LavroffDmitri Georges, Les grandes師apes de la pens仔 politique, Paris, Dalloz,1993.
5.滝沢正著、「フランス法」、第2版、三省堂、2002年
その他