南山大学

 
指定
期間
夏期前半
単位
年次
3・4
担当者
宮下 修一
他の科目との関連 履修可能な民刑事法関連科目を、可能な限り受講しておくことが望ましい。また、「経済刑法」とは一部内容の重なり合う部分もある。
他学科履修
副題
講義内容  「消費者法」とは何か──このような問いを投げかけられたとき、はたしてみなさんはどのように答えるだろうか。一見簡単なようで実は答えることが難しいこの問いの背景には、あるときは「保護」を求め、あるときは「自立」を求め、またあるときはその双方を求めるというように、自らの置かれた状況に応じてその姿を変える「消費者」の存在がある。また、社会の中にさまざまな形で存在する「消費者問題」には、法的な解決が困難な、いわば法の狭間に置かれたものも少なからず存在する。
 本講義は、上述したような「消費者」という言葉のもつ多様な意味もふまえつつ、消費者問題について、現実に発生している多種多様な事例をもとに、法的な側面から理論的かつ実証的に考察することを目的とする。具体的には、現代における消費者問題の全体像を把握したうえで消費者法の基礎理論を考える「総論」、さらに、具体的な紛争解決へ向けた実践的な方法を考える「各論」の順で検討を進めていく。そして最後に、冒頭に述べた問い──消費者法とは何か──を、あらためて考えてみることとしたい。
講義計画 1 総論 (1)     オリエンテーション/消費者問題の現状と対応
     (2)     消費者・消費者法とは何か
     (3)     消費者契約の特性
     (4)     消費者取引をめぐる法規制の概観
     (5)     消費者行政のあり方
2 各論 (6)〜(8) 消費者契約の締結過程・内容をめぐる諸問題
     (9)〜(10) 消費者取引の適正化−特定商取引法・割賦販売法−
     (11)     公正な競争と消費者−独占禁止法・景品表示法・不正競争防止法−
     (12)     商品の欠陥と消費者の安全−製造物責任法・住宅品質確保促進法−
3 総括 (13)     消費者・消費者法とは何か−再論−

★以上の講義計画は、状況に応じて変更することがある。詳細は、講義で説明する。
評価方法  原則として、最終時間に実施する定期試験によって評価する。ただし、場合によっては小テスト等を行い平常点として加味することもありうる。詳細は、授業中に指示する。
テキスト  大村敦志『消費者法 第2版(法律学大系)』(有斐閣、2004年)
 なお、特定商取引法や割賦販売法などが全文掲載されているやや大きめの六法(例えば、小六法〔有斐閣〕、模範六法〔三省堂〕など)も必ず持参すること。

【そ の 他】 講義は、毎回配布するレジュメや資料をもとに進める予定である。
 なお本講義は、単に消費者問題の基礎知識を教員が“教え”、受講生が“習得”することだけを目的としたものではない。あくまで、社会に存在するさまざまな問題をふまえつつ、「消費者法」さらには「法」のもつ意味について、教員と受講生が一緒に“考える”ことに主眼を置くものである。この点に留意しつつ、積極的に議論に参加することを期待する。
その他