南山大学

 
指定
期間
秋学期
単位
年次
1・2
担当者
CALMANO Michael
講義題目
開講キャンパス
講義内容  どんな発達段階にある学習者に、何を、どんな形で教えるか、また教えるべきかという問題は、人や集団を導く者に課せられた大きな課題である。カリキュラムはそれを具現化したものであり、アメリカ合衆国で100年近く行われてきた“Curriculum Theory”に関する議論、そしてその議論から生まれたいくつかのカリキュラム作りのモデルなどは検討するに値する素材といえる。本科目では「教育は人々の行動様式を変化させる過程である」という、Ralph W. Tylerの定義を出発点として、カリキュラムの歴史・技術・価値観の問題を検討する。さらに、日本だけにとどまらず諸外国の教育カリキュラムを紹介、分析し、比較検討を行う。カリキュラム作りの過程における指導者の役割に特に注目することを通して、カリキュラム構成の思想や意義、内容についての理解を深める。
講義計画 次のテーマを予定している。(括弧の数字はそのテーマのために予定されている授業数。)
(1) 教育計画における「理論」と「実践」の相互関連 (2)
(2) “Tyler Rationale”(とその背景にあるアメリカ合衆国の公教育事情)の紹介(4)
 なお、“Tyler Rationale”はカリキュラム作りの手引き(“How-To”)としてではなく、カリキュラム作り
 に着手する時直面する問題提起(“Why”)として詳しく取り上げる。
(3) カリキュラム論 — 現代の議論と“alternative approaches” (3)
    * Philip W. Jackson, “Conceptions of Curriculum and Curriculum Specialists,” 1996
    * William F. Pinar,“International Handbook of Curriculum Research,” 2003
    * Ivan Illich, “Deschooling Society,” 1973 (「脱学校の社会」、1977)
(4) 「学習指導要領」とカリキュラム論 — 履修者の研究発表を軸に (3)
評価方法 広義の「カリキュラム」に関連あるレポートを評価の基準とする。純粋理論、思想的背景、特定の教科への応用等、履修者はそのテーマと利用する文献を自由に選ぶことが出来る。レポート作成の一環として、授業中の簡単なプレゼンテーションを合格の必要条件とする。
テキスト Ralph W. Tylerの本「現代カリキュラム研究の基礎 — 教育課程編成のための —」は(絶版のため)テキストとしては使わないが、Ivan Illich, “Deschooling Society,” 1973(東洋、小澤周三 訳、「脱学校の社会」、創元社、1977)は必読だ。

推薦する文献: 安彦忠彦【編】、「新版カリキュラム研究入門」、勁草書房、1999
安彦忠彦【著】、「放送大学大学院教材 教育課程編成論 学校で何を学ぶか」、放送大学教育振興会(日本放
 送出版協会)、2002
Daniel Tanner & Laurel Tanner, “Curriculum Development : Theory into Practice,” 3rd ed., Merrill, 1995
Ronald C. Doll, “Curriculum Improvement : Decision Making and Process, 9th ed., Allyn and Bacon , 1996
Philip W. Jackson, “Conceptions of Curriculum and Curriculum Specialists,”(Philip W. Jackson, editor, “Handbook of Research on Curriculum,” Macmillan) 1996
Joseph J. Schwab, “The practical : A language for curriculum,” National Education Association, 1970
その他 日本と諸外国のカリキュラム問題を比較検討するため、翻訳されていない外国語文献の利用は大いに歓迎するが、単位取得と良い評価成績の必要条件とはしない。