Ⅰ.授業の概要
①講義科目名(単位数) |
社会保障と法(2単位) |
②担当者名 |
山田 耕造 |
③科目の種類 |
展開・先端科目 |
④必須の有無 |
選択 |
⑤配当学年・学期 |
2・3年(既修者コース:1・2年)・集中 |
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⑥授業の概要 |
本講義では、わが国の現行社会保障法制の全体像(①社会保障法の目的と範囲、②社会保障受給権の構造、③社会保障給付の内容〔医療給付、年金給付、労災保険給付、失業給付、介護給付、福祉サービス給付、公的扶助給付〕)を把握するとともに、主要な社会保障給付に関する代表的裁判例についての検討を行います。 わが国の社会保障法全体を概観しうるテキストおよび社会保障判例百選を用いて、わが国の現行社会保障法制の全体像を把握するとともに、主要な社会保障給付に関する代表的裁判例について検討することを目的とします。具体的には、まず、シラバスによって予習すべき事項について予告するとともに、テキストの該当部分に関する裁判例、参考文献を提示します。講義では、各回の講義において取り上げる事項およびそれに関連する裁判例についての基本的なレクチャーを行った後、受講者に対する質問を行うことにより、その内容の理解の確認および深化を図ることとします。必要な場合には、当該講義の内容に関し、次回の講義の際に提出すべき宿題を課します。 |
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⑦到達目標 |
①経済的不況等による国民の経済生活への重圧が強まる中、わが国の社会保障制度は財政難を口実として、その縮小、制限へ向けての政策が強力に進められている。他方では、こうした政策動向に対して、国民の生活防衛の拠り所として、公正妥当な社会保障制度の一層の充実、発展への要求や期待も強まっている。それ故に、今日、社会保障法の、そして社会保障の権利の存在意義が認められるのである。 ②社会保障制度を法的な角度から考察することによって、社会保障制度への理解の幅を一層拡げられるようになることが、本講義の到達目標です。 |
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⑧成績評価の基準と方法 |
評価基準は、出席および講義における発言の積極性、講義終了の際に提起する課題に対するレポート、です。評価方法は、これら二つの基準を総合的に勘案して、単位認定するが、レポートの比重は7割とする。 |
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⑨教科書 |
清正寛、良永弥太郎編著『論点社会保障法[第3版]』(中央経済社、2003年) 佐藤進他編『社会保障判例百選[第3版]』(有斐閣、2000年) |
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⑩参考文献・参考資料 |
岩村正彦、菊池馨実編著『目で見る社会保障法教材[第2版]』(有斐閣、2001年) |
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⑪履修条件その他の事項 |
特になし |
Ⅱ.授業計画
回 担当 |
①テーマ |
授業内の学修活動 |
④授業時間外の学修活動等 |
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②ねらい・内容 |
③授業方法・工夫 |
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1 |
社会保障法の目的と範囲 |
(1) 社会保障法とは何か(①社会保障法の概念、②社会保障法の特質) (2) 社会保障法の国際化(①社会保障の国際的性格、②社会保障法と国際基準、③ILO「社会保障に関する勧告」、④ILO「社会保障の最適基準に関する条約」) (3) 外国人と社会保障法(①社会保障法における内外人均等待遇の原則、②わが国の社会保障制度と外国人) についてみていきます。 |
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2 |
わが国社会保障法の体系 |
(1) 社会保障法の体系化の視点 (2) 現行社会保障法の体系 についてみていきます。 |
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3 |
わが国社会保障法の憲法上の諸原理 |
(1) 社会保障と生存権(①憲法25条の法的性格、②生存権の特質と社会保障法、③社会保障政策と生存権原理) (2) 判例にみる生存権の法的性格と内容(①生存権に関する最高裁判例の動向、②朝日訴訟と生存権、③堀木訴訟と生存権) (3) 社会保障と法の下の平等(①問題の意義、②社会保障における平等保障=2つの最高裁判決、③平等保障と立法課題) についてみていきます。 |
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4 |
社会保障受給権の構造 |
(1) 社会保障受給権の考え方(①社会保障受給権とは何か、②社会保障受給権の法的性格、③受給権の構造) (2) 併給調整(①併給調整とは何か、②併給調整問題の発生、③併給調整の制度と法理) についてみていきます。 |
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5 |
社会保障受給権と権利救済制度 |
(1) 社会保障受給権の特質 (2) 社会保障に関する争訟制度の概要と論点(①争訟制度の概要、②簡易迅速な救済、③公正な救済、④訴訟費用負担、⑤情報の提供) についてみていきます。 |
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6 |
医療給付制度の概要と課題 |
(1) 医療給付制度の概要(①国民健康保険制度、②被用者医療保険制度、③高齢者医療給付制度) (2) 各制度における法的問題点と課題 についてみていきます。 |
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7 |
年金給付制度の概要と課題 |
(1) 年金給付制度の概要(①国民年金制度、②被用者年金制度) (2) 各制度における法的問題点と課題 についてみていきます。 |
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8 |
労災保険給付制度の概要と課題 |
(1) 労災補償制度の概要(①労災保険制度、②船員保険制度、③公務員災害補償制度) (2) 労災保険制度における法的問題点と課題 についてみていきます。 |
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9 |
失業給付制度の概要と課題 |
(1) 失業給付制度の概要(①雇用保険制度、②船員保険制度) (2) 雇用保険制度の法的問題点と課題 についてみていきます。 |
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10 |
介護給付制度の概要と課題 |
(1) 介護保険制度の概要 (2) 介護保険制度の法的問題点と課題 についてみていきます。 |
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11 |
社会福祉サービス給付制度の概要と課題 |
(1) 社会福祉サービス給付制度の概要(①児童福祉制度、母子及び寡婦福祉制度、③身体障害者福祉制度、④知的障害者福祉制度、⑤精神保健福祉制度、⑥老人福祉制度) (2) 各社会福祉制度の法的問題点と課題 についてみていきます。 |
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12 |
社会手当給付制度の概要と課題 |
(1) 社会手当給付制度の概要(①児童手当制度、②児童扶養手当制度、③特別児童扶養手当制度) (2) 各社会手当給付制度の法的問題点と課題 についてみていきます。 |
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公的扶助制度の概要と課題 |
(1) 生活保護制度の概要 (2) 生活保護制度の法的問題点と課題 についてみていきます。 |
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わが国社会保障法の課題と展望 |
(1) 社会保障と行政(①社会保障における責任主体、②社会保障における実施主体、実施機関) (2) 社会保障の費用負担(①社会保障における費用負担の意義、②社会保険方式、③社会扶助方式) (3) 社会保障受給権と権利救済・権利擁護制度(①争訟制度における法的問題、②権利擁護制度における法的問題) (4) 21世紀における社会保障法の課題、 についてみていきます。 |
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総括と討議 |
本授業の締め括りとしての総括と討論を行います。 |
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