Ⅰ.授業の概要
①講義科目名(単位数) |
知的財産権法(2単位) |
②担当者名 |
髙橋 譲二 |
③科目の種類 |
展開・先端科目 |
④必須の有無 |
選択 |
⑤配当学年・学期 |
2・3年(既修者コース:1・2年)・春学期 |
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⑥授業の概要 |
知的財産法の中で特許法、不正競争防止法、著作権法、それに商標法を中心に取り上げ、まず理論的な側面から講義を行い、受講者の基本的な理解を図ります。次いで訴訟等の実務の観点から知的財産権全体の理解を深めることを目的とし、実務上の主要な争点について裁判例の検討を踏まえつつ、理解を深めることを予定しています。 講義の中では具体的な事例を提示して受講者に積極的な意見を求め、また訴訟資料(製品も含む)を使用しながら訴訟の実態を説明し、討論を通じて多角的な角度から学習させるように配慮します。受講者には十分な予習、復習を求め、自習が可能となるように研究対象を具体的に指示します。 |
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⑦到達目標 |
知的財産法は受講者が民事基礎科目をひと通り理解したうえで展開的な科目のひとつとして修得することを期待されているので民事法分野での基礎ができていることが望ましいです。 知的財産法ではその権利の種類(特許権、著作権等)に応じて、発明者(創作者)に充分な保護を与える必要がある一方で、他者との利益の調整を図る要請も存在し、この点が法解釈を行い、法制度を論ずる上で最も大きなポイントになります。 受講者は基本的な文献・判例を通して基礎的な知識をまず修得する必要があります。そして裁判で問題となった具体的な実例(製品等)を示しますので、興味と学習意欲を持っていただき、討論や報告を通じて問題処理の実務的感覚と能力を身につけるようにしてほしいと思います。 |
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⑧成績評価の基準と方法 |
期末テストの結果を中心とし、80パーセントの比重とします。また、講義での発言や報告の内容も20パーセント考慮します。 |
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⑨教科書 |
土肥一史『知的財産法入門(第7版)』(中央経済社) |
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⑩参考文献・参考資料 |
講師作成のレジュメを使います。また適宜資料を配布します。 |
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⑪履修条件その他の事項 |
特になし |
Ⅱ.授業計画
回 担当 |
①テーマ |
授業内の学修活動 |
④授業時間外の学修活動等 |
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②ねらい・内容 |
③授業方法・工夫 |
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1 |
特許権の意義 |
最初に知的財産全体について説明し、次に特許発明とは何かについて基本的な理解を得させたのち、権利取得の手続きについて特許庁への出願手続きに触れながら明らかにします。 |
全員がパソコン・メールを使用。授業の計画について予め説明します。 |
指定されたテキスト・参考書を予習しておく。 |
2 |
特許権の技術的な範囲と効果 |
実際の公報をもとに特許権の権利範囲を画する技術的範囲の意義を理解させ、権利取得によっていかなる法的効果が生ずるかを明らかにします。 |
資料(特許公報)を配布して特許権の意義を明らかにします。 |
指定されたテキスト・参考書と判例を予習しておく。 |
3 |
特許権侵害の判断 |
訴訟の場で最も問題となる特許権の技術的範囲確定の基礎となる文言解釈の手法につき、公知技術や明細書の記載、出願経過が解釈面に及ぼす影響にふれつつ、具体例をもとに学習します。 |
重要な判決をもとに解釈手法について学びます。 |
予め指定する判決をもとにレポートを提出 |
4 |
特許権侵害の判断 |
特許庁における無効審判と権利濫用の抗弁の訴訟上の意味を学習し、次に均等論と最高裁判決の射程範囲を近時の判例に照らして検討します。 |
討論を中心にして最近の判決の問題点を議論し、修得します。 |
参考書の指定部分及び判決を充分に学習したうえで臨む。 |
5 |
損害賠償請求 |
個々の請求の法的根拠と要件・効果の異同を理解したうえ、限界利益の意義を裁判例をもとに学習し、主張・立証の実務的問題点についても検討します。 |
予習を前提に討論を中心とする。 |
参考書の指定部分を予習しておくこと。 |
6 |
訴状、答弁書、準備書面の作成技術 |
計画審理の意味について学ぶほか、具体的ケースにもとづき裁判上の書面の作成を試みます。 |
レポート結果をもとに議論し、批評し合う。 |
参考例をもとに裁判上の書面を予め作成しレポートする。 |
7 |
職務発明について |
要件と効果、法の趣旨につき基本的な理解を深め、近時問題となっている相当対価請求権に関して判例の分析、検討を試みます。 |
講義と討論をミックスしたかたちで進める。 |
事前に指定する判例を予習しておく。 |
8 |
判決後の処理等
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上訴の判断や、執行に備えての準備、特許庁の手続きとの関連及び依頼者への説明などの実務的処理について学習します。 |
具体例・参考例を示して主に講義形式で進める。 |
民訴法の基本的概念について各自復習しておくこと。 |
9 |
訴訟外紛争解決手続き |
示談交渉の技術と契約書等の法文書作成、それにADRの利用の仕方などを学びます。 |
具体例・参考例を示して主に講義形式で進める。 |
事前配布の資料を予習すること。 |
10 |
商標
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商標権の持つ意義、権利化の要件と法的効果につき述べ、侵害の成否に際して実務上問題となる争点につき具体例をもとに検討します。 |
ビジュアルな参考資料を配布して講義中心で進める。 |
テキストを事前に予習しておくこと。 |
11 |
不正競争防止法の目的と構造 |
不正競争防止法の目的、沿革を学んだのち、法の構造について理解し、要件・効果を学習します。 |
具体例・参考例を示して主に講義形式で進める。 |
予め指定したテキスト及び判例を予習しておくこと。 |
12 |
不正競争行為類型−(1)
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周知商品等表示誤認行為を中心として裁判例を検討しながら重要な争点につき議論を通じて理解を深めます。 |
判例をもとに討論を中心として進める。 |
指定した判例を事前に学習し、レポートする。 |
13 |
不正競争行為類型−(2) |
営業秘密の不正利用や著名表示冒用行為等を中心に裁判例を検討しながら重要な争点につき議論を通じて理解を深めます。 |
判例をもとに討論を中心として進める。 |
指定した判例を事前に学習し、レポートする。 |
14 |
著作権の意義について |
著作権・著作権者の意義と権利の類型につき基本的な理解を得させます。 |
具体例・参考例を示して主に講義形式で進める。 |
テキストの指定部分を予め充分に学習し、理解しておく。 |
15 |
著作権の自由利用 |
各著作権の自由利用の意義とその範囲に関して具体的事例を通じて学びます。 |
具体例につきレポートをもとにして討論を中心として理解を図る。 |
予め判例を指定するのでレポートを書く事。 |