南山大学

 
指定
選必
期間
秋学期
単位
年次
1〜4
担当者
遠藤 宏一
他の科目との関連 財政学、総合政策論I(公共政策論)
履修対象学科
副題
講義内容  租税(税金)とは、市場経済制度のもとで年々新たにつくり出される価値(所得)の循環過程に公権力(国や自治体)が権力的に参加する行為(=課税・徴収)である。私有財産と個人の自由を認める近代国家は、同時に「無産国家」の成立でもあるが、そのため国家活動の物的基礎である貨幣の調達は、国民の「政治への参加」の権利と引き換えに租税に依拠することが認められた(「自由のバッジ」としての租税)。
 ところで現代の国家は、近代国家とは比較にならないほど「大きな財政」となったため、その租税現象(その収入と支出)は、政治・経済・社会のあらゆる局面に様々な影響と問題を生み出しており、税金のあり方は「国のかたち」を変えるとまでいわれるようになった。従って、本講義は日本の税のあり方やその経済社会現象を中心にとりあげ、さらにその仕組みや経済社会との関わりなどを国際比較の視点からも考察する。
講義計画    (注)実際に講義をすすめる過程で、開講時限数との関係で若干の変更もあり。
I.税金とは何か
II.税金と政治−租税と民主主義−
III.税金と経済−私有財産・市場経済制のもとでの税源−
IV.日本の税金
  (1)個人と家計の税金(1)−サラリーマンの税金−
  (2)個人と家計の税金(2)−財産所有と税金−
  (3)企業は納税者たりうるか−会社・企業への課税と「神学論争」−
  (4)消費税と物品税−消費税の納税義務者と負担者−
V.新世紀への選択
  (1)高齢社会における税負担−「税」と「保険料」の違い−
  (2)地方分権化と税制
  (3)税制のグリーン化−環境税を考える−
  (4)新世紀「税制」のアポリア(迷路)−グローバル化・情報化と税制−
評価方法 定期試験と出欠状況(随時、講義に対するアンケートを実施)で評価
テキスト *講義全体を通しての適切な統一テキストはないが、以下の文献を準テキストとして、随時、引用・参照する。
 (1)三木義一『日本の税金』岩波新書、2003年
 (2)石弘光『税制ウオッチング』中公親書、2001年
*また必要に応じて、講義資料のプリントを配布する予定。
その他