00533 政治・経済と人間の尊厳3、4
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選必 |
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春学期 秋学期 |
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2 |
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2〜4 |
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櫻井 健吾 |
他の科目との関連 | |
履修対象学科 | 全 |
副題 | 産業社会の倫理 |
授業概要 | 本講義では「人間の尊厳」を政治・経済の視点から考察する。そのために、人間の営みと深く関わっている政治や経済のあり方、また政治学や経済学などの社会科学的観点から見られる人間の問題に注目し、現代社会に生起している政治的、経済的現象のなかで「人間の尊厳」がどのように扱われているのかを見極め、これを維持・回復していくために、どのような方策と努力が必要かを検討する。 |
学修目標 | 18世紀中葉にイギリスで始まり、19世紀にはヨーロッパ大陸へと普及していった産業革命は人類史上まったく未知の新しい現象であった。工場制工業が成立し、生産高と労働生産性は飛躍的に増加し、長期的には所得の上昇によって人びとの福祉は向上した。しかし、このようなことは今日から見て初めていえることである。19世紀のほとんどの期間、ドイツは、古い職人層の没落と窮乏化、新しい賃金労働者の勃興、その悲惨な生活状況、社会の大変動と大混乱といった事態に見舞われた。 この労働者の貧困問題、つまり社会問題を解決するため、ヨーロッパ諸国ではさまざまな努力がなされた。この講義では、この社会問題に正面から取り組んだカトリック思想家ケテラー(1811−1877年)を取り上げる。ケテラーは当時の自由主義と社会主義との対決のなか、独自の思想を展開し、その理念はカトリック社会・政治運動として大きな流れとなっていった。それは現代世界の社会国家と社会保障の形成にも、EUの理念「補完性原理」の確立にも大きく貢献している。 従って、この授業の学修目標は、(1)産業革命という未曾有の現象の画期性、(2)産業革命の負の側面としての社会問題の重要性、(3)その社会問題を解決するため努力した一人物ケテラーの思想と行動の軌跡、以上の点を学ぶことにある。 |
授業計画 | 以下のようなことが各週の授業で対象とされる。 1.ケテラーと現代 2.なぜ労働者問題を取り上げるのか 3.労働者問題とは何か 4.自由主義の提案 5.テラーの自由主義批判 6.社会主義の提案 7.ケテラーの社会主義批判 8.キリスト教の提案 9.人間の尊厳の歴史的成立 10.キリスト教の自助論と労働観 |
評価方法 | 出席と筆記試験 |
テキスト | ケテラー『労働者問題とキリスト教』晃洋書房、2004年 |
その他 |