00541 法と人間の尊厳1、2
|
選必 |
|
春学期 秋学期 |
|
2 |
|
2〜4 |
|
高橋 広次 |
他の科目との関連 | |
履修対象学科 | 全 |
副題 | 自然法論における人間の尊厳 |
授業概要 | 本授業では、「人間の尊厳」を伝統的自然法論で理解される意味において説明する。その出発点は、いきなり、自由・平等といったア・プリオリに観念的な理想を掲げるのでなく、人間本性が示す傾向の客観的な観察に基づくのでなければならない。この意味で、「久遠の哲学」と呼ばれるアリストテレスとトマス・アクィナスに基づいて陶冶されてきた自然法論は、今なお顧みられるべき意義を有している。本授業は、その哲学的骨組みと、具体的な制度的応用の仕方がいかに提示されるかについて説明する。 |
学修目標 | 基本的人権の尊重は、近世における絶対王政や教会の圧制に対抗した啓蒙期自然法論者や自由主義者の活躍によってはじめてもたらされたと言われるが、それでは、それ以前に「人間は尊い」という意識は、存在しなかったのであろうか。あるいは、表現こそ違え、東洋にこれに類した意識はなかったであろうか。もし、人間の尊厳が人類の普遍的な意識であるならば、それは何に基づいているのだろうか。近代的な「個人の尊重」とは異なった文脈から、古典的自然法に即した「人間の尊厳」の理解に努める。 |
授業計画 | 授業の流れは以下の通り。 1.序論 「人間は万物の霊長である」ことの意味 2.自然法思想と反自然法思想の歴史的対立関係 3.自然法論の形而上学的基礎 4.人間本性と自然法の認識 5.アリストテレス・トマスの正義論 6.人間の尊厳に仕える婚姻制度と私有財産論 7.国家の起源と目的 8.国家の基本原理としての補完性原理と共同善原理 9.法と道徳の緊張関係 10.国際人道法の理念としての人間の尊厳 |
評価方法 | 成績の評価に際しては、中間期を見計らって実施する小レポートと、学期末レポート試験の成績結果、及び、毎回の授業への出席を重視し、総合的に判断する。 |
テキスト | 予めレジュメを配布する。なお、参考書として、古典的とも評される著名なハインリッヒ・ロンメン『自然法の理論と歴史』(阿南成一訳)を薦める。 |
その他 |