南山大学

 
指定
選必
期間
春学期
秋学期
単位
年次
1〜4
担当者
岡地 稔
他の科目との関連
履修対象学科
副題 名前の文化史
授業概要  どのような民族にも社会にも独自の文化があるが、その独自性や特徴を把握するには、当然のことながら、他の諸文化との比較が有効な方法である。本講義では、世界の様々な文化を構成する要素、たとえば宗教、政治制度、生活・思考様式、慣習あるいは言語等に注目し、それらを比較文化論的に分析して相違点や共通点ないし相互影響関係について検討し、各文化の特殊性と同時に人類文化としての普遍性を考察する。
学修目標  「大帝」「肥満王」「懺悔王」「征服王」「倨傲公」「獅子公」…。ヨーロッパ中世においては多くの君侯がこのように渾名で呼ばれる。なぜであろうか。「カロリング家のカール=マルテル」さんのフルネームは「カール=マルテル=カロリング」なのか。またフランス革命で処刑されたルイ16世の父の名はルイで、その父の名もルイ(15世)で、その父の名もルイで、その父の名もルイで、その父の名もルイ(14世)で、その父の名もルイ(13世)であった。一族内で累々と続く同名。ルイはルイを呼ぶこうした類は、中世においてはよく見うけられた。なぜであろうか。「ヨーロッパの名門」と呼ばれるハプスブルク家でさえ、系譜的には11世紀までしかさかのぼれないのは、なぜであろうか。我々の身近にありすぎて、あらためて意識されることの少ない名前。名前に関わる種々の問題を通して、既知と思われているヨーロッパの歴史や社会の一側面を考察していきたい。
授業計画 序 「カロリング家のカール=マルテル」さんのフルネーム
1 個人名しかもたぬ中世の人々── 個人名のみから姓の誕生へ
2 姓の誕生期のイギリス── デフォーの「改姓」の遠い背景
3 個人名の世界── 区別・識別の問題性
4 文化としての渾名──渾名の繁栄が反映するもの
5 再考:区別・識別の問題と渾名
6 名前のもつ意味
7 中世における貴族の家意識・家門意識
8 中世貴族の名前のその後
評価方法 試験
テキスト 使用せず。
その他