南山大学

 

【科目コード】97653

【科目名称】キャリアおよび人材開発

【担当者】高橋 弘司

【単位数】2                    【配当年次】1秋・2     【開講期】秋学期

 

【授業概要】

従業員個人の人的資源価値をいかに開発していくのかについて、キャリア発達の視点から、企業組織における訓練・キャリア開発プログラム施策のデザイン、実施、評価、短期的・長期的開発、効果測定について包括的に理解する。さらに、その前提となるキャリア発達理論について深く学ぶ。キャリア発達関連の専門書を数冊熟読した後、実際の企業における訓練・キャリア開発プログラムの実例を分析し、改善点・効果測定・組織目標との一貫性について論ずる。また、ディスカッションやレポートを通じて、より有効なプログラム作りへのインプリケーション作成について実習する。

【到達目標】

 組織従業員の「仕事生活プロセス」(=キャリア)に関して、組織にとっての真の利益・貢献(=収益性)および個人にとっての真のキャリア満足(=納得性)を高めていくためのキャリア開発プログラム策定デザインを学んでいく。組織にとっては、従業員個人の能力・スキル・知識(KSAs)の陳腐化を防止し、さらに高いレベルまで育成していくことは競争に勝ち抜くための必須要件であり、その対象となる人材の納得性もモティベーション維持において重要である。これを前提とし、実際の組織における訓練・キャリア開発プログラム立案・実施・評価・改善のインプリケーション作成を可能とする。

【授業計画】

  

1.          個人と組織それぞれのキャリア・ニーズ

 (1)イントロダクション (2)キャリア発達とキャリア開発 (3)訓練とキャリア開発プログラム

2.          組織における人的資源開発

 (1)個人のKSAs開発可能性 (2)人的資源管理部門の権限と役割

3.          キャリア発達・開発の理論的理解(1)

  (1)シャインのキャリア発達理論 (2)ヴァン・マーネンのキャリア発達理論

(3)事例研究

4.          キャリア発達・開発の理論的理解(2)

 (1)発達心理学的キャリア理論 (2)人的資源管理からのキャリア開発理論 (3)事例研究

5.          効果測定法

 (1)効果測定法の基本的な考え方 (2)実験デザイン (3)費用対効果測定 (4)短期・長期的効果測定

6.          訓練(1):OJT

 (1)OJTの形式と種類 (2)OJTの実施 (3)OJTの効果測定 (4)事例研究

7.          訓練(2):OffJT

 (1)OffJTの形式と種類 (2)OffJTの実施 (3)OffJTの効果測定 (4)事例研究

8.          キャリア開発プログラム

(1)目標明確化とデザイン (2)実施とチューニング (3)プロセス・ニーズの汲み取り

9.          個人のキャリア発達ニーズ

 (1)ニーズの種類 (2)ニーズの測定 (3)組織に対するニーズの提示

10.       組織の人材開発ニーズ

 (1)人材開発ポートフォリオ (2)ニーズの同定 (3)ニーズの数値化と評価法

11.       実習・総合事例研究(1)

 (1)個人側ニーズの測定 (2)キャリア発達諸段階における個人側ニーズ

12.       実習・総合事例研究(2)

 (1)組織側ニーズの同定 (2)人的資源管理制度に対するキャリア開発要因の寄与

13.       グループワーク発表

 (1)キャリア開発・人材開発制度案のプレゼンテーション

14.      まとめ

(1)      重要ポイントの再点検

 

【評価方法】

筆記試験 35

  期末試験 35

課題 35

クラスへの貢献度 30%

   ディスカッション・ケーススタディ分析への参加度

【テキスト】

本講義にとって単体で必要十分な日本語テキストが出版されていないため、未定とする。指定の際には、キャリア発達・キャリア開発プログラム・人材開発に関しての日本語文献をおおむね2冊程度指示する予定である。必要な補足資料は講義中に配布する。

【参考文献】

講義前・講義中に適宜紹介する。

【備考】

各回の講義に際しては必ず事前に予習(リーディング・アサインメントの読解、事例の分析など)を行い、講義中のディスカッションに備えておくことが大前提である。したがって、講義中の発言量が少ないと判断される受講者に対しては単位を与えない。実務経験の有無に関わらず実際の組織やマネジメント現場に即した発言は必須であり、実務経験のない受講者はさらに詳細な予習をすることが望まれる。