南山大学

 

【科目コード】97809

【科目名称】日本的経営

【担当者】Khondaker Mizanur Rahman

【単位数】2      【配当年次】1秋・2     【開講期】秋学期

 

【授業概要】

本科目の目的は、経営管理及び労務管理、生産管理、マーケティング等の個別分野において日本企業に特徴的に用いられてきた手法(日本的経営)について論ずることにある。日本的経営はどの様に形成されてきたのか、又現在どの程度変化しつつあるのかを文化的伝統及び環境要因とのかかわりにおいて明らかにしたい。そのために、日本の組織風土及びビジネス環境の変化について概観した後、企業集団、終身雇用、年功序列、OJT、企業別組合、合意的意思決定、TQC、JIT、かんばん方式、下請け・系列などのトピックにつき検討する。日本企業・経営における最新的共通課題や問題点を取り上げ、学問・実務的、応用的論点を探り、実行案・方法および戦略などについて考察したい。履修生の積極的な参加と発言を期待する。

【到達目標】

   この講義を学ぶことによって、まず第一に、受講生がさまざまな国際的地球的規模の変化に直面して、日本的経営の実践がどのように発展・変遷を遂げたかを評価できるようになることを目指す。次に、日本的経営の実践がどちらの方向に動いているのかが理解できるようにする。最後に、先進的な発想を身につけることによって、受講生が業務で直面している関連問題により効率的・合理的にアプローチで見るようになることを目指す。

【授業計画】

  

1.         オリエンテーション:講義の目的、目次、教育方法、参考資料、履修者への希望、履修者の役割

2.         日本的経営の現状:概説、文化的基盤とその変化

3 – 12 日本的経営の諸側面

3.         企業の哲学、信念、イメージ、モットー、倫理等とマネジメント

4.         組織構造、組織内での異なる層での管理機能、インブレッド経営、トップマネジメントのアウトソーシング等

5.         人的資源管理:終身雇用と年功システム、パートタイム(アルバイターとフリーター)、ニート、契約社員・中途採用者、高齢労働者の再就職、ワークシェアリング、終身雇用及び年功序列制改革

6.         人的資源開発:就職前、就職後、職務および機能特定的なOJTOff-JT、ビジネススクール・職業訓練機関での革新的西洋型教育の新潮流(MD,短期・長期コース)、ケーススタディと社内指導教育プログラム、コーチング等の革新的西洋型トレーニング法

7.         労務管理関係(中間テスト**):労働者基本権、企業内組合、労働組合、ナショナル・センター、経営者組合、非正社員と組合、春闘スタイルの変化、合併・買収と組合、労働組織化減少の長所・短所

8.         意思決定システム:ボトムアップとコンセンサス vs. トップダウン、戦略上の稟議・根回し vs. 運営上の稟議・根回し、部門別決定

9.         生産管理:一般的特徴、下請け、系列、JITと看板、TQM/QC

10.      流通管理:基本的特徴、インターロッキング生産、商社・系列流通経路を通しての調達とマーケティングシステム、マーケティング・タイアップ、eビジネス等

11.      コーポレートガバナンス:特徴、機関投資 vs. 個人投資、株主総会、総会屋、その他の欠陥、改革プロセス

12.      経営の社会的ネットワーク:閨閥、政界、財界、官界、学閥、天下り、会議所と同盟、社長会、企業グループ等

13.      結論:まとめ/復習、新しいアプローチの計画、最終所見

14.      最終試験

 

【評価方法】

出席、授業参加(ディスカッション、討論、小テスト、プレゼンテーション) 30

中間試験 (30-45分) 30

期末試験 (記述又はレポート) 40

【テキスト】

1.         著名な研究者・実務家の学術雑誌論文、書籍の章。受講生は、テキストの指定された章、各授業時間で指定する書籍・学術雑誌の論文・章を読むこと、内容についてのレポート、取り上げられている問題の討議、そして現在の考えを提出することが必要である。

2.         視聴覚教材、ビジネス雑誌の抜粋、ウェブも利用する。

3.         受講生のアイデアと目的に役立つ教材リストの改訂等は授業時間中に指示する。

【参考文献】

1.         Makoto Ohtsu with Tomio Imanari, Inside Japanese Business, Armonk, N.Y.: Sharpe, 2002.

2.         James C. Abegglen and George Jr. Stalk, Jr., Kaisha: The Japanese Corporation, Tokyo: Tuttle 1985.

3.         Harukiyo Hasegawa and Glenn D. Hooks (eds.), Japanese Business Management, London: Routledge, 1998.

4.         Hideo Inohara, Human Resources Development in Japanese Companies, Tokyo: APO, 1990.

5.         Mizanur R. Khondaker, Japanese Style Management for Bangladesh Public Sector, Dhaka: NSU/NFU, 1997.

6.         Min Chen, Asian Management Systems, London: Thomson, 1998 (reprint), Ch. 19.

【備考】

   この講義は主に英語で行われる。受講生はテキストを読み、授業で取り上げられた問題を討論し、その概要を書き、中間及び期末試験の問題に答える事の出来る十分な理解力が必要とされる。発表及び討論などでは英語の使用を大歓迎であるが、もちろん日本語もOKである。別の学生のために時間を割くことがあるという点を事前に了解しておくこと。

   授業の範囲は多岐にわたり、一般的である。授業の中心部分(312)では、授業中に出された宿題および取り上げているトピックスについて議論・意見交換に十分な時間を割く。受講生には、独力で与えられた素材を読み、授業中に積極的に発言することが求められる。

   上記の項目を変更する際には、授業中にアナウンスする。受講生は、授業中に議論・報告するために、職場で直面している、あるいは現在取り組んでいる問題を持ち寄るよう、強く求める。