南山大学

 
指定
選必
期間
秋学期
単位
年次
1〜4
担当者
高畑 祐人
他の科目との関連
履修対象学科
副題
授業概要  「命は何よりも大切だ」「命を弄ぶようなことをしてはいけない」、このことを一般論としては誰も否定しないだろう。しかし、今日ではそうした一般論では対処し切れない問題が生じて来ていることもまた否定できない。人工妊娠中絶・生殖医療・遺伝子医療(操作)・クローン技術・脳死と臓器移植・安楽死(尊厳死)、等々。こうした問題はたしかに関係者にとって待ったなしに具体的対応を迫るものであるが、だからこそまた、そうした対応を正当化するための理論的根拠への省察の営みも等閑にはできない。そうした営みを引き受けるのが生命倫理学という学問である。講義では、生命倫理学が誕生した背景から説き起こし、具体的問題を事例にしながら生命倫理学の主要な論点・概念(自己決定権・「パーソン」概念・生命の質「生きるに値する生命」・愚行権・功利主義・「ダブル・エフェクト」論[「殺すこと」と「死なせること」])について概説すると同時にそれらに内在する問題点を指摘する。
学修目標 生命と医療に関する問題を倫理的に考えることの必要性を理解する。それぞれ個別の問題について自分はどう考えるか、その根拠は何かということについて論理的に説明できるようになると共に、異なる考えについての理解をもち、幅広い考え方が出来るようになることを目指す。
授業計画  上記の目標のために以下の順序で講義を進めていく。
  1.序 倫理と倫理学/一般倫理学と応用倫理学
  2.生命倫理学の誕生—その社会的・医学的背景—
  3.人工妊娠中絶の正当化(1)—胎児の生存権と母親の自己決定権
  4.人口妊娠中絶の正当化(2)—「パーソン」論
  5.中絶擁護論の評価
  6.臓器移植の正当化(1)—「ダブル・エフェクト」論
  7.臓器移植の正当化(2)—「サバイバルロッタリー」
  8.臓器移植擁護論の評価
  9.安楽死(1)—さまざまな考え方
  10.安楽死(2)—生命の尊厳と生命の質
  11.安楽死擁護論の評価
  12.インフォームド・コンセントの正当化
  13.インフォームド・コンセント擁護論の評価
  14.まとめ
評価方法 学期末および学期途中に実施するレポート
テキスト 使用しないが、以下の文献をとくに下敷にしていることを明記しておく。岡本裕一郎『異議あり! 生命・環境倫理学』(ナカニシヤ出版)、今井・香川編『バイオエシックス入門』(東信堂)。講義の中でも適宜紹介していく。
その他 この科目は、次のJABEE対応コース「情報技術専修コース」学習・教育目標に対応する。(A)