南山大学

 
指定
期間
秋学期
単位
年次
3〜
担当者
大森 明
他の科目との関連 会計学、簿記原理、公会計論、監査論、環境経済学、地球環境論
他学科履修
副題
授業概要  地球温暖化をはじめとした地球規模の環境問題への社会的関心の高まり背景として、企業や自治体等の経済主体では、環境問題の解決に向けた努力を行っています。その努力の一つが環境会計の導入です。会計学は伝統的に経済主体の業績を測定するモノサシとして機能してきました。つまり、「この会社は儲かっているか?」「この会社は潰れないか?」「この会社は将来成長しそうか?」等を判断する時には、財務会計というシステムを通じて情報が作成され、利害関係者とのコミュニケーションに活用されています。このように財務会計が企業等の財務面での業績に関する利害関係者とのコミュニケーション手段であるならば、環境会計は、「この会社は環境問題に真剣に取り組んでいるか?」「環境への取り組みは良い結果を出しているか?」等の問いに答えることができる情報を生み出し、企業内部および外部の利害関係者とのコミュニケーションに活用されるシステムといえます。環境会計の取り組みはまだ緒についたばかりですが、それでも上場企業の約3分の1が環境会計に取り組んでいます。このクラスでは、環境会計のケーススタディを多く取り入れながら、企業経営と環境問題とのかかわりについてみなさんと一緒に考えていきます。
 また、最近では、環境問題への対応のみならず、より広範な社会責任問題への対応も不可欠となってきています。こうした動向を踏まえ、環境と社会の領域を含めて企業の社会的責任(CSR)への会計的対応として、環境会計からCSR会計または持続可能性会計へと展開してきています。そこで、このクラスでは、環境会計とその発展形態としてのCSR会計も含めて考察していきます。
学修目標  このクラスでは、企業経営と環境問題、さらには社会的責任問題との関わりについて理解を深めると同時に、その対応として環境会計(CSR会計を含む)や環境報告(CSR報告を含む)を中心に、それらを促した背景とその理論的根拠を明らかにし、さらには、多くのケース・スタディを取り入れます。みなさんには、これらの理論的な考察とケース・スタディを通じて、環境会計の制度面と実践面の両面に関する現状と課題を理解し、今後を展望できるようになることを学修目標とします。
授業計画 1.環境会計とは何だろう
2.公害問題から地球環境問題へ
3.公害問題と社会責任会計(CSR会計の萌芽)
4.環境経営の展開(環境マネジメントシステムの普及と会計)
5.環境会計の登場とその意義(アカウンタビリティ、正当性と意思決定有用性)
6.外部環境会計パート1(財務会計領域における環境会計問題)
7.外部環境会計パート2(環境省の環境会計ガイドライン)
8.環境管理会計パート1(ライフサイクル・コスティング等)
9.環境管理会計パート2(環境予算、環境ABC)
10.環境管理会計パート3(マテリアルフローコスト会計)
11.環境報告書から持続可能性報告書(CSR報告書)へ
12.政府・自治体の環境会計・環境報告
13.環境会計・環境報告の国際比較
14.環境会計の展望(総まとめ)
15.定期試験
評価方法 定期試験の結果を中心に、数回提出を求める(簡単な)レポートの評価を加味して総合的に評価します。
テキスト テキスト・参考書:開講時に指示します。
その他