南山大学

 
指定
期間
春学期
単位
年次
1・2
担当者
遠藤 宏一
講義題目 国際化・地方分権化と地域経営
開講キャンパス 瀬戸キャンパス サテライトキャンパス
授業概要  地域公共政策は、一般的には「地域経済(構造)」─「地域問題(地域経済の矛盾、都市・農村問題)」に対応して、地方自治体や中央政府(公権力)が地域社会を管理し改造しようとする政策であり、その重要な政策手段が政策の物質的基盤となる財政である。ところでわが国の地域公共政策は、私が「競争的地方自治制」と規定する特殊「日本的」中央─地方間財政関係のもとで展開されてきた。このシステムは戦後日本の経済発展に極めて適合的ではあったが、1980年代以降になると慢性的な財政危機に陥りその矛盾と限界が顕わになり、今日では内発的発展という新しい地域公共政策の展開と、国と地方をとおしての財政改革が不可欠になっている。本講義はこうした地域公共政策と財政の展開を歴史的・実証的に検証しつつ、その教訓に立って新世紀にふさわしい地域公共政策と地方財政のあり方を考察する。
学修目標  第一に、戦後日本を中心として地域公共政策の展開と、産業構造・都市構造の変貌や行財政の構造変化などを日本経済の発展段階と関わらせて実証的に検証する。第二にはその史的教訓に立って、新たな地域公共政策の構想とその裏付けとなる地方行財政のあり方・改革の課題と展望を、各地域・自治体などにみる実践事例の具体的検討し、その一般理論化をはかる。第三に、具体的な地域分析、自治体分析の方法論を学習してケース・スタデイを行う力量をつけ、かつ実際にフィールド・ワークを行えるようにすること。
授業計画 <第一部>地域(開発)政策と地方行財政
1.財政構造の日本的特質と地方財政
2.地域政策の行財政システム
3.「地域開発」方式の類型─その論理と現実─
4.地域開発と日本経済─マクロ視点からの総括─
5.地域開発効果の評価論─ミクロ視点からの総括─
6.内発的発展の行財政改革論─「地域経営」の課題─
7.内発的発展と財政自主権─「日本型」地方分権と税財政改革論批判─
<第二部>地域分析・自治体財政分析の方法論
1.地域経済(構造)把握の分析指標とデーター収集法
2.市町村調査と「産業構造」把握の重要性─地域政策の科学化のために─
3.自治体財政分析に必修なこと─明確な問題意識をもって「決算カード」を読む─
評価方法 講義への出席と積極性、および期末のレポートによる。
テキスト 遠藤宏一『現代地域政策論』大月書店 1999
宮本憲一・遠藤宏一『セミナー現代地方財政』(改訂版)勁草書房、2006
その他