南山大学

 
指定
選必
期間
春学期
秋学期
単位
年次
2〜4
担当者
柳澤 田実
他の科目との関連
履修対象学科
副題 スタンリー・キューブリックを解読する
講義内容 「我々は、最高の善にも、とてつもない悪にもなり得る。問題は、我々の目的にそのいずれかが見合ったとき、両者の区別がつかなくなることだ」。このように語ったスタンリー・キューブリック(1928−1999)は、二十世紀が生んだ極めて重要な映画監督の一人です。深刻なテーマを題材にしながらも、ユーモアに満ち、卓越した映像美を湛えた彼の作品は、多くの人々に愛され、高い評価を獲得してきました。本講義では、キューブリックの代表作を観賞、解読し、彼が終生取り組み続けた人間の「影」の部分、すなわち悪や暴力という問題について考察を深めます。講義では、映画を解読するために必要な、あるいは解読の導きとなる様々な思想、宗教、歴史的背景を扱います。個々の作品が前提とする広範な知識を学びながら、複雑な要素によって構成されている「悪」にアプローチする方法を、キューブリックから学修します。
学修目標 悪や暴力を単純に「悪」として退けることの困難さを理解した上で、悪しき行為や行いが、どのような状況、関係性において生じるのかを繊細に分析し、それらを効果的に批判する方法を学修する。また、キューブリック作品が前提としている、西洋社会のユダヤ・キリスト教の宗教的背景、歴史的な時代状況について学修すると同時に、作品分析に有効な哲学や精神分析などの方法についても学ぶ。
講義計画 1.イントロダクション:スタンリー・キューブリックという人物
2.戦争とシステム(「突撃」)
3.ホモソーシャル(「スパルタカス」など)
4.核とコメディ(「博士の異常な愛情」)
5.道具と殺人(「2001年宇宙の旅」)
6.ロボットと神(「2001年宇宙の旅」)
7.自由意志と悪(「時計仕掛けのオレンジ」)
8.暴力と芸術(「時計仕掛けのオレンジ」)
9.呼応する悪意(「シャイニング」)
10.ホラー映画の効用(「シャイニング」)
11.殺人者への訓練(「フルメタル・ジャケット」)
12.無意識と裏切り(「アイズ ワイド シャット」)
13.夫婦と繁殖性(「アイズ ワイド シャット」)
14.まとめ:キューブリックの問い・キューブリックの答え
評価方法 期末レポート50%と出席50%。毎回部分的に作品鑑賞をし、講義を聴いた上で、各自に映像分析をして頂きます。その内容が出席点に反映されます。
テキスト 毎回プリント資料を配布します。また、参考文献は講義中に紹介します。
その他 暴力的な場面を含む映像作品を観賞することになりますので、その点を了承の上、受講して下さい。