南山大学

 
指定
選必
期間
春学期
単位
年次
1〜4
担当者
高橋 広次
他の科目との関連
履修対象学科
副題 環境倫理の目的
講義内容  本授業は、最近クローズ・アップされてきた環境問題を応用倫理の角度から考察する。昔より「人間は万物の霊長である」と言われてきたが、人間中心主義は人間非中心主義によって大いに疑問にさらされている。とりわけ今日支配的な社会原理とされる個人主義、自由主義、民主主義は、この角度から再検討を迫られている。例えば所有・契約・責任に関する近代市民法原理は、新たに人類が迎えた数々の難局に直面し、それを解決する有効範囲が狭いことを露呈しつつある。自然保護、将来世代の保護、資源節約等に関し、我々が取るべき倫理的態度は如何に在るべきかを考える。
学修目標  (1) 環境倫理学入門として、1970年代からこれに関して書かれてきた内外の文献の紹介、解説を行う。
 (2) 環境倫理学の下に取り扱われる固有のテーマにつき、その議論のトポスを列挙する。
 (3) 環境倫理学の方向から、新たな法学構築の可能性を探る。
 (4) 人間の尊厳に対し「被造物の尊厳」という視点を学ぶ。
講義計画 本授業の流れは以下の通り。
1.序論 環境問題の現状とその原因
2.環境倫理学における様々な視角
3.環境倫理学の始まり アルド・レオポルドの「土地倫理」
4.人間中心主義と人間非中心主義 「自然の固有価値」とは
5.ディープ・エコロジー
6.環境的正義の問題
7.自然の権利と動物の権利
8.世代間倫理の可能性
9.現代経済と南北問題
10.環境問題と消費生活
11.自然保護と法システム
12.キリスト教と環境倫理
13〜14.ハンス・ヨナスの「責任原理」
15.定期試験
評価方法 成績の評価に際しては、定期試験の結果を重視するが、中間期を見計らって実施する小テストの結果をも併せて考慮する。配点の比率は小テスト20%、定期試験80%とする。
テキスト 加藤尚武編『環境と倫理』(有斐閣アルマ)
加藤尚武『環境倫理学のすすめ』(丸善ライブラリー)
加茂直樹他編『環境思想を学ぶ人のために』(世界思想社)
以上は主要な参考書であるが、講義はレジュメに沿って行う。
その他