22321 現代の文化人類学A
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選 |
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秋学期 |
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2 |
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2〜4 |
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石井 眞夫 |
他の科目との関連 | |
他学科履修 | 可 |
副題 | 人類学の政治研究と民族世界 |
講義内容 | 文化人類学の政治研究は、「政治組織が無い」といわれた諸社会、「未開社会」への関心から始まったように、政治組織や権力構造の研究にとどまらず、社会に不均等に配分される「力」の観念とその行使に関わる諸問題を幅広く考察する。この講義では、人類学の研究史と研究関心の変遷を、政治研究の経緯を通じて振り返りながら、その現代の意義について考察する。主としてアジア、オセアニアの事例から、かつて人類学が「未開」と呼んだ社会、伝統文化や民族文化とは何だったのか、また人類学の政治研究が現代社会理解にどのような意義を持つかについて考えて行く。 |
学修目標 | かつての文化人類学を含め、西欧中心の学問は異文化社会を未開、伝統、民族などの用語で表現してきた。人類学の政治研究史はそうした異文化社会の認識の変遷を良く表している。また、こうした異文化認識は現代の「民族問題」やエスニシティー認識へと連なるものである。この講義では、人類学の政治研究史を振り返り、人類学研究史と人類学の問題意識への理解を深め、またそうした知見をもとに、今日世界各地で起きる、いわゆる民族問題が今日の文化人類学的異文化認識の視点からどのような歴史的、研究史的意義を持つかについて考察を深めることを目的としている。 |
講義計画 | 1.人類学の政治研究:背景と課題 2.政治のない社会?:異文化世界の発見 3.“未開社会”は存在するのか?:アフリカの伝統的政治体系 4.秩序ある無政府状態:非西欧諸民族の政治 5.政事(まつりごと)と祭事(まつりごと):政治人類学の成り立ち 6.小さな社会の小さな政治:小規模社会のリーダーたち 7.貝貨は世界を動かす:ニューギニアのビッグマンシステム 8.見えない力を表すもの:勲功祭宴の世界 9.「民族」は突然出現したのか:植民地主義と民族主義 10.国家と近代化がもたらすもの:民族の移動と対立 11.ボルネオ分割支配がつくったもの:現代国家の中の民族 12.「未開」社会は存在するのか:東南アジア民俗文化の世界 13.首狩りのイマジネーション:民族暴動と伝統文化 14.人は二つの世界に生きるのか:伝統文化と現代文化 15.学期末試験 |
評価方法 | 学年末試験による100%。 |
テキスト | テキストなし、参考文献は講義中に指示する。 |
その他 |