南山大学

 
指定
期間
春学期
単位
年次
2〜4
担当者
中野 智章
他の科目との関連
他学科履修
副題  エジプト考古学の現状と未来
授業概要  シャンポリオンによる象形文字ヒエログリフの解読(1822)を契機とするエジプト考古学は、誕生から200年を迎え、現在大きな転機を迎えている。トゥトアンクアメン王墓の発見やギザのピラミッド研究など、一見華やかに見える発掘調査の一方で、大気汚染や地下水の上昇といった、自然環境の変化による遺跡破壊は確実に進行しており、各国の調査隊が参加する発掘オリンピックは、徐々に遺跡の保存・修復が重視される方向へ移行しつつある。また、そうした動向はこれまでに発見された遺物や遺構、遺跡を再度見直し、3000年に亘る文明を如何に再構成するか、といった考古学本来の問題への回帰とも重なり、情報の共有や議論の進展を目的にいち早く進んだインターネットの導入や最新科学技術の応用など、エジプト考古学の現状は極めて多様な側面を呈している。本授業は、そうしたエジプト考古学の方法論と現状にふれる中で、欧米に遅れてスタートした我が国のエジプト考古学が貢献しうる道を同時に探ろうとする試みである。
学修目標  日本考古学の発展に大きな影響を与えたエジプト考古学の方法論や現状にふれる中で、考古学に対する知識や視野を広げると共に、人類文化を解明する一手段としての考古学のあり方や未来について学ぶことを目標とする。
授業計画 1.イントロダクション:エジプト考古学の世界
2.方法論(1)シャンポリオンによる象形文字の解読:古代への手がかり
3.方法論(2)ピートリの土器研究:SD法の開発と日本考古学への影響
4.方法論(3)ライスナーのピラミッド調査:科学的考古学の始まり
5.遺物論(1)土器に如何に語らせるか:最古の王墓地を探る
6.遺物論(2)物の普遍的要素に着目する:王像の文様から見る社会
7.遺物論(3)図像を読み取る:王名枠セレクの成立過程
8.遺構論(1)レリーフの制作過程を探る:タニス王墓地の新解釈
9.遺構論(2)建築に現れる世界観:神殿の空間構成
10.遺構論(3)墓をどう分析するか:首都墓地サッカラの研究
11.遺跡論(1)王権とモニュメント:ピラミッドの意味と役割
12.遺跡論(2)西アジアの中で:アマルナの都市考古学
13.遺跡論(3)発掘の現場から:カルガ・オアシスの調査・研究
14.まとめ:エジプト考古学の未来
15.定期試験
  以上の項目に沿って講義を進める予定である。
評価方法  平常点と筆記試験の双方で評価する。初回に授業の進め方や評価方法等についてオリエンテーションを行うので、受講者は必ず出席のこと。
テキスト  取り扱う対象は多岐にわたるので、適宜参考文献を紹介し、プリントを配布する。
その他  講義では、デジタルカメラ映像やビデオ・DVDなど各種視聴覚教材も用いて、受講者の理解を助けるよう配慮する。