南山大学

 
指定
期間
春学期
単位
年次
3・4
担当者
塚本 隆敏
他の科目との関連
他学科履修
副題  国有企業改革に伴う問題と農村改革に伴う問題が主となる。前者は企業保障から社会保障に転換した状況を中心に取り扱う。後者は農村の集団組織であった人民公社の解体から農村合作医療システムの現状を中心に取り扱う。
講義内容  中国は大きく分けて毛沢東時代とE小平時代に分けられる。後半の時代は市場経済を主として、経済優先の時代である。当然、講義は後半の市場経済システムを中心に行う。特に、工業部門での国有企業改革に伴う、社会保障問題と労働者の就業問題を中心に取りあげる。また、農村部門での人民公社の解体に伴う、農民の医療問題を取りあげる。そのさい、従来の合作医療がどのように変化してきているか、その実情を紹介しながら農村の医療問題がどのように運営されているかみてみたい。
学修目標  今日の中国経済が「世界の工場」という話より、中国経済がどのような問題を抱えながら、市場経済の下で、何が当面の問題かを学習して頂きたい。そして、市場経済が浸透する下で、従来のシステムが少しずつこわれていくが、そのさい、人びとの医療とか、年金がどうなっているか、また、農村の人びとの医療はどうなっているかなど、理解して頂くことを目標にしている。
講義計画  中国が社会主義市場経済を導入していることを前提に授業を進める。それは社会主義的な要素が未だに存在、つまり、土地が国家のものであり、間接的だが国有企業をコントロールしている。そして、市場経済は個人・私営企業が法に沿って自由に経済活動を、欧米・日の資本主義的な市場経済と同じ論理で経済行為をしている。また、農業部門は完全に個人農が中心である。こうした工業部門でも、農業部門でも、市場経済が前提で、都市と農村の医療システムがどのような現状にあるかを紹介する。具体的には以下の手順で実施。
1.新中国の歴史
2.中国の国有企業改革における回顧と展望
3.中国の労働者の意識構造—労働観など
4.中国の労働者の意識構造—職場環境など
5.中国における就業問題
6.中国の私営企業の労使関係の現状
7.中国の私営企業の労働組合の現状
8.中国の社会保障—伝統的モデル
9.中国の社会保障—政策課題
10.中国の企業経営者の現状
11.中国の企業経営者の問題
12.中国の医療保険制度の現状
13.中国の農村の医療保障制度
14.中国の農村合作医療の現状
15.定期試験
評価方法  月に1回程度、新聞記事から中国経済に関するテーマを選び、A41枚程度で提出。そして、定期テストにそれを加味する。また、出席を重視する。※テスト=80点、その他、提出物・出席=20点。
テキスト  『中国の国有企業改革と労働・医療保障』(塚本隆敏著・大月書店)
その他  経済問題の雑誌を読むように心掛ける。