南山大学

 
指定
期間
春学期
単位
年次
3・4
担当者
赤嶺  淳
他の科目との関連
他学科履修
副題
講義内容  フィリピン共和国は、3つの国による400年近い植民地支配の結果形成された。したがってこの国は、人工的な国境線によって形作られ、その社会は多様性にみちている。このような社会を理解しようとするとき、私たちに求められるのは複眼的で柔軟な視点、そして歴史的な視点である。この講義では、東南アジアで唯一の圧倒的なキリスト教社会であると同時に南部にはイスラム社会も共存するこの国の宗教のありよう、多様なエスニシティ、重層的なメスティーソ文化、そして著しい経済的社会格差の問題を考える。
学修目標 ・フィリピン社会(文化)の経験した「歴史性」を考える。
・フィリピン社会(文化)の成立ちをとおして、日本社会への視座を再検討する。
・日本と東南アジアのつながりと、そのつながり方について認識する
・東南アジア研究における「モノ研究」の手法の有効性・可能性を学ぶ。
講義計画 1 海は障壁か?−島国根性とムランタウ
2 海域世界の見方(1)−国号と国家、「稲作史観」と「海域史観」、「草の文化」と「木の文化」
3 海域世界の見方(2)−「中央主義」と「辺境主義」、「定着」と「移動」、地域の概念(世界単位・文化領域)
4 東南アジア海域世界(1)−グローバルヒストリーのなかの香料諸島
5 東南アジア海域世界(2)−森と海の世界、ウォーラセア、特殊海産物、香料
6 東南アジア海域世界(3)−海の世界の民主主義
7 東南アジア海域世界(4)−移動するひとびと
8 「ミンダナオへの旅」(『マングローブ』I章)
9 「サンボアンガからスールーへ」(『マングローブ』II章)
10 「南ミンダナオ圏」(『海道の社会史』III章)
11 『バナナと日本人』
12 環境主義下の開発と少数民族
13 わたしたちの生活と東南アジア(1)−世界システム
14 わたしたちの生活と東南アジア(2)−グローバリゼーション
15 試験
評価方法 授業中に指示したレポート40%、試験40%、授業中の参加度20%により評価する。なお、レポートと試験は日本語で解答することとし、レポートについては1)みずからの主張がシャープにあらわれるタイトルを工夫する、2)日本語の作文ルールにもとづき、誤字脱字を確認し、引用の出典を明確にする、3)参照した文献の概説をのべるのではなく、要旨をふまえたうえで自分の意見をあきらかにする、4)必要に応じて図表、地図、年表を附すことを条件とする。
テキスト 鶴見良行『海道の社会史』朝日選書330、朝日新聞社、1987年。
鶴見良行『マングローブの沼地で』朝日選書495、朝日新聞社、1994年。
参考書、資料は別途指示。
その他 一方的な講義にならぬよう適宜、質問するので授業中に積極的に発言すること。発言がない場合は、欠席したものとみなす。また、どんなものでもよいので、東南アジアの地図を必ず持参し、講義にでてきた地名を確認すること。なお、私語ならびに授業と関係ない作業をした場合には、教室をでてもらうことがあるので注意すること。