南山大学

 
指定
期間
夏期後半
単位
年次
2〜4
担当者
倉澤 資成
他の科目との関連 特定科目の知識を前提とはしないが、ミクロ経済学の基礎を修得していれば、この講義の理解には大いに役立つであろう。
他学科履修
副題 新しい企業金融理論と日本の企業金融
講義内容 企業金融の理論(Theory of Corporate Finance)は、新しいミクロ経済理論、たとえばエイジェンシーの理論、情報の経済学(あるいはゲーム理論)、不完備契約の理論などの成果を積極的に取り入れ、大きく発展してきた。この講義では、伝統的な企業金融理論をごく簡単に概観した後、新しい企業金融理論の分析手法(上記のゲーム理論や不完備契約の理論の考え方)を解説しつつ、その新しさと特徴、分析の射程が明確になるように講義する。さらに、これら新しい企業金融理論の、さまざまな問題に対する切れ味を提示できれば、と考えている。
学修目標 企業とって望ましい資金調達とは何か、配当水準をどのように決めているのか、なぜ企業は合併をするのか、等が、企業金融論の分析対象である。これらを題材にして「経済学の考え方」を知り、それを身につけるのが、目標となる。「経済学の考え方」を真に自分のものにするのは、易しいようで、意外と難しい。この講義だけでは、とても無理だろう。さまざまな講義を聴き、自分の頭で考えることが何よりも大切である。
講義計画 まず企業金融とは何を分析する学問なのか、をモジリアーニ/ミラーの定理を中心とする伝統的な考え方の説明をかねて簡単に解説した後、次のような新しい企業金融理論のエッセンスを丁寧に講義する。
 ・情報の不完全性と財務政策
 ・エイジェンシーの理論
 ・不完備契約と財務政策
さらに、企業金融の理論や日本の企業金融に関して、特に大きな関心を集めている問題を取り上げて、どのような理解の仕方があり得るのかを議論していく。取り上げるテーマは未定であるが(この講義要項を書いている時点と実際に講義をする時点との間に時間差があるので)、たとえば、日本のコーポレート・ガバナンス、商法(会社法)をめぐる諸問題、時価会計の効果などが考えられる。
評価方法 レポート50%、試験50%。レポートでは、広い意味での企業金融に関する論点を受講者の関心に応じて選択し、それに対して講義で解説した手法やミクロ経済学等で学んだ分析道具を用いた独自の議論を展開すること。
テキスト テキストは使わず、配付資料にもとづいて講義を進める予定。企業金融理論のテキストブックではないが、次の書物(の一部の章)は、講義の参考になる。
 砂川伸幸『コーポレート・ファイナンス入門』日経文庫。
 ミルグロム/ロバーツ(奥野正寛他訳)『組織の経済学』NTT出版。
 柳川範之『契約と組織の経済学』東洋経済新報社。
 三輪芳朗編『会社法の経済学』東京大学出版会
 J.Tirole,The theory of Corporate Finance,Princeton.
その他、必用に応じて講義で紹介する。
その他