南山大学

 
指定
期間
秋学期
単位
年次
2〜4
担当者
大久保 泰甫
他の科目との関連
他学科履修
副題 フランス民法典とその国際的影響──200年間を鳥瞰する──
講義内容  通常、最初の近代法典といわれるフランス民法典を講義の中心的対象とする。この法典は1804年に成立するが(いわゆる「ナポレオン法典」)、その内容は、200年を経た今日に至るまでに極めて大きな変化を遂げてきた。授業の第1部では、民法典の成立過程を取り扱った後、その基本精神について、複数の異なる見方(解釈)を紹介しつつ詳しく説明する。その際、他のヨーロッパ諸国との比較的視点を取り入れていく。第2部、第3部においては、通時的に、19世紀およぴ20世紀のフランスにおける法典の変容過程を理解するとともに、空間的な見地から、この法典の対外的影響の推移を、その理由を考察しつつ跡付ける。そして最後に、最近、ヨーロッパ統合との関連で浮上している「ヨーロッパ共通民法典」をめぐる論議を、フランスを中心に取り上げてしめくくる。
学修目標  (1) 1804年のナポレオン法典の性質規定は、簡単に一筋縄ではいかないことを十分認識すること
   (具体的には、よく説かれるその「近代性」は、法典の初発からのものとは言い難く、19世紀中の
    lectures(「読解」)の過程で成立したと考えられる)。
 (2) フランス民法典の大きな対外的影響力はなぜ可能であったのか、またそれは時代と共にどの
    ように変化していったのかを、ダイナミックに理解すること。
講義計画 1〜7. 第1部 民法典(ナポレオン法典)の成立過程と基本精神
 1.民法典成立までの歴史的概観(その1:旧法の時代)
 2.民法典成立までの歴史的概観(その2:革命法の時代)
 3.民法典の起草者たち
 4.民法典の制定過程
 5.民法典の「法典」としての性質分析
 6.民法典の基本精神をめぐって(その1:近代性の強調)
 7.民法典の基本精神をめぐって(その2:前近代性の指摘)
8〜10. 第2部 フランス民法典の辿った運命:時間軸に沿って
 8.1804年から1880年頃までの時期
 9.1880年頃以降の時期
 10.第2次大戦以後の地殻変動
11〜14. 第3部 フランス民法典の辿った運命:空間的眺望
 11.ナポレオンのヨーロッパ支配と法典の対外「輸出」
 12.ナポレオン没落後における法典の運命
 13.範型(モデル)としての放射力
 14.フランス民法典200周年と「ヨーロッパ共通民法典」論議
 15.期末試験
評価方法 平常点(毎回出席をとり、「欠席過多」を適用)および期末試験
平常点20%、期末試験80%
テキスト
その他 講義要綱と資料を配付する。