南山大学

 
指定
期間
秋学期
単位
年次
1・2
担当者
松田 京子
講義題目 日本の「帝国」化と東アジア
開講キャンパス
講義内容 日本が明治以降、近代化を推進していく際、「日本」という同一性の立ち上げは、中国・台湾をはじめとした東アジア諸地域および沖縄・北海道といった国民国家の「周辺」領域を対象とする「他者」性の発見との相互関連のなかで行われてきた。本講義では、その動態を万国博覧会・展覧会といった視覚的テクストおよび学問的抽象性をおびた文字テクストを分析することを通じて、論じていきたい。またその際「他者」として措定された側からの働きかけとそれへの再反応を考察することを通じて、近代期における文化の相互交渉の具体像を検討していくこととなる。
学修目標 19世紀後半以降の日本と東アジア諸地域との関係史について、基礎的な知識を身につけるとともに、文化表象をめぐる近年の理論的な議論を把握した上で、それらの理論の有効性について、具体的な歴史的事象との関連で、各自がそれぞれ判断できる力を養うことを目標とする。
講義計画 第1回     ガイダンス
第2回〜第4回 文化交渉、文化表現をめぐる論理的考察
          E.W.サイード『オリエンタリズム』、『文化と帝国主義』
          G.C.スピバック『サバルタンは語ることができるか』
          レイ・チョウ『ディアスポラの知識人』など。
第5回     1900〜1920年代の日本と東アジア
第6回〜第9回 「帝国」日本の異文化表象をめぐって—宗主国日本の中の植民地台湾—
          『岩波講座 「帝国」日本の学知』など。
第10回     1930〜40年代の日本と東アジア
第11回〜第14回 総力戦と「文化」をめぐって—植民地台湾の中の宗主国日本—
          『岩波講座 アジア・太平洋戦争』、『継続する植民地主義』など。

なお、講義テーマに関連して、下に掲げた参考文献を中心に、研究論文の講読も適宜行い、参加者全員でのディスカッションを通じて、授業テーマをめぐる近年の研究動向についても理解を深めていきたい。
評価方法 授業への積極的参加(50%)。レポート(50%)。
テキスト 適宜、プリントを配布する予定。参考文献は、講義中に紹介する(下記も参考のこと)。
その他 【参考文献】
E.W.サイード『オリエンタリズム』(今沢紀子訳、平凡社)、『文化と帝国主義1、2』(大橋洋一訳、みす
  ず書房)。
G.C.スピバック『サバルタンは語ることができるか』(上村忠男訳、みすず書房)。
レイ・チョウ『ディアスポラの知識人』(本橋哲也訳、青土社)。
山本武利/他編『「帝国」日本の学知』全8巻(岩波書店)
倉沢愛子/他編『アジア・太平洋戦争』全8巻(岩波書店)
岩崎稔/他編『継続する植民地主義』(青弓社)