南山大学

 

【科目コード】97619

【科目名称】金融システム

【担当者】山下 忠康

【単位数】2                    【配当年次】1秋・2    【開講期】春学期

 

【授業概要】

本科目は、金融市場や金融機関の基本的役割を総論的に学習し、最近の金融システム関連のトピックについての理解を深めることを目標とする。具体的には最近、変化の兆しがみられる銀行行動に重点を置いた講義とし、高度経済成長期、バブル期、バブル崩壊後といった時系列で振り返りながら、銀行の役割・機能や銀行・企業間関係の変化を理解していく。同時に、銀行を巡る様々なトピック(銀行の経営戦略動向、不良債権問題、産業再生、企業倒産など)を解説した上で、クラスディスカッションを行い、金融システムに対する履修者の理解度を高めたいと考えている。

【到達目標】

   金融業界(主に銀行)の動向を戦後復興期から現代まで振り返りながら、金融機能や制度の全体像を理解すること、また、企業が銀行や金融市場との良好な関係を構築・維持するために有用な金融機関の戦略や行動様式、市場制度に関する知識を身につけることを目標とする。

【授業計画】

  

1.          イントロダクション(総論)

    (1) 金融機関を取り巻く環境変化(金融再編、法規制)

 (2) 金融機能の変化

2. メインバンク・システムの生成・発展

    (1) 間接金融

    (2) 株式の相互持合い

 (3) 護送船団方式による金融行政

3.  わが国の金融制度

    (1) 金融制度、金融慣行

    (2) 各国の金融制度改革

 (3) 金融制度改革(日本版ビッグバン)

  4. バブル崩壊と不良債権問題

    (1) 低金利政策と不動産担保融資

    (2) システィミック・リスク

 (3) 公的資金注入の是非

  5. メインバンク・システムの変質

    (1) 銀行統合、異業種との連携

    (2) 不動産担保偏重主義からの脱却(無担保融資、証券化商品、知的財産権)

 

 (3) メインバンクによるコーポレート・ガバナンス

    (4) 株式持合いの解消とコミットメントライン

  6. 不良債権問題への取組み

    (1) 破綻企業への対応(法的整理と私的整理)

    (2) 事業再生と産業再生機構

  7. 銀行のリスク管理

    (1) 信用リスク

    (2) 市場リスク

 (3) その他のリスク

  8. デリバティブ取引

    (1) 先物取引

    (2) スワップ取引

 (3) オプション取引

  9. 直接金融

   (1) 証券市場(発行市場、流通市場)

    (2) 証券取引所の役割

 (3) 企業内容開示制度(ディスクロージャー制度)

 (4) 社債格付け

  10. 中小企業金融

   (1) 地域金融機関の役割と地方経済

    (2) リレーションシップ・バンキング

  11. 金融機関の経営戦略

    (1) ベンチャービジネス(新興企業)への対応

 (2) グルーバル企業への対応

(3) 個人への対応

  12. 金融機関の経営戦略(問題点、あるべき姿に関するクラス討議)

    (1) 商品開発

 (2) 組織、人材

 (3) 顧客対応、企業へのコミットメント

  13. 金融機関と情報システム

    (1) リスク管理、内部統制

 (2) マーケティングおよび営業支援

 (3) インターネット活用

  14. 全体のまとめ

    (1) 各回の補足

 

【評価方法】

  提出物 80

   中間レポート(30%)および期末レポート(50%)の提出

  クラスへの貢献度 20

   授業中のディスカッションへの参加態度や発言内容

【テキスト】

古川顕『テキストブック 現代の金融(第2版)』東洋経済新報社、2002

【参考文献】

  西村吉正『日本の金融制度改革』東洋経済新報社、2003

【備考】

   金融機関からゲスト・スピーカーを招くことがある。その場合、シラバスの順序が変更される可能性があるが、最終回(第14回)の全体のまとめで調整する。