南山大学

 

【科目コード】97621

【科目名称】内部監査

【担当者】佐久間 裕幸

【単位数】2                    【配当年次】1秋・2    【開講期】秋学期

 

【授業概要】

外部監査に対して、内部監査とは、組織内の特定の人、組織が監査を行なうことである。昨今、コンプライアンス(法令遵守)へのリスク管理の認識が高まってきているが、内部統制の一環としての内部監査、株式会社における監査役や監査委員会などの充実がこうしたリスクを早期に発見し、改善することにつながる。業務の経済性、効率性及び有効性の評価など、財務諸表監査と異なる監査目標も存在する内部監査のあり方について検討する。また、今日、情報システムを利用していない企業は稀であり、情報システムの信頼性あるいは電子商取引の安全性といった観点でも内部監査人に求められるものが少なくない。本講座では、受講生が実際に内部監査担当になった場合にも業務ができるような実践性のある講義を心がける。

【到達目標】

受講生が企業内で内部監査部門に配属された場合あるいは監査役となった場合を想定し、監査の基礎知識、内部監査の推進者としての知識について、実務に従事できる知識を習得できることを目標とする。

【授業計画】

  

1.          監査とは

(1) 外部監査と内部監査 (2) 会計監査と業務監査 (3) その他の監査

2.      内部監査の概念と内部監査の生成

(1) 内部監査概念 (2) 初期の内部監査 (3) 内部牽制システムとの関係における内部監査 (4) 内部統制システムとの関係における内部監査 (5) 日本における動向 (6) 現在内部監査への展開

3.      内部統制と内部監査

(1) COSO以前の内部統制概念 (2) COSOの内部統制概念 (3) COSOの内部統制概念の特徴と内部監査の役割 (4) 内部監査の役割の拡張

4.      リスクマネジメント/コーポレートガバナンス

(1) COSOERMフレームワーク (2) リスクマネジメントと内部統制 (3) コーポレートガバナンスとリスクマネジメント

5.      近年における内部監査重視の傾向

(1) 近年の企業不祥事 (2) ディスクロージャーの充実・強化に向けた動向 (3) 企業のネットワーク化 (4) 委員会設置会社 (5) 内部監査の役割の拡大

 

 

 

6.      内部監査規程と内部監査基準

(1) 内部監査の要件 (2) 内部監査規程の意義 (3) 内部監査規程の内容 (4) 内部監査基準の意義 (5) 内部監査基準の概要

7.      内部監査人/内部監査部門の要件

(1) 内部監査人の要件 (2) 内部統制部門の要件

8.      リスクベースアプローチと監査計画

(1) リスクベースアプローチ (2) 内部監査計画の意義 (3) 内部鑑査計画の種類 (4) 中長期監査計画と年度監査計画 (5) 監査対象単位の選定

9.      内部監査実施プロセス

(1) 監査実施計画 (2) 予備的調査、事前通知および監査意見交換会 (3) 不正への対応

10.    監査証拠、監査技術、監査調書

(1) 監査証拠 (2) 監査技術 (3) 監査調書

11.    内部監査とフォローアップ

(1) 内部監査報告の意義 (2) 監査報告書の種類 (3) 監査報告書の作成プロセスと構成 (4) 監査報告書作成上の留意事項 (5) フォローアップ

12.    内部監査の品質保証/他の監査との関係

(1) 内部監査の品質保証 (2) 内部監査の品質評価 (3) 内部監査と財務諸表監査・監査役監査の比較 (4) 内部監査と財務諸表監査・監査役監査の関係

13.    企業グループ監査

(1) 監査権限 (2) 内部監査体制

14.    情報システム監査

(1) 情報システム監査とは (2) リスクマネジメント (3) 情報システムのライフサイクルにおける監査

 

【評価方法】

  筆記試験50

  提出物20

   レポートの提出

  クラスへの貢献度30

   授業中のディスカッションへの参加態度や発言内容

【テキスト】

  松井隆幸『内部監査』同文館出版2005

【参考文献】

  日本内部監査役協会編『実践的内部監査の実務』同文館出版2005