南山大学

 

【科目コード】97715

【科目名称】流通システム

【担当者】湯本 祐司

【単位数】2                    【配当年次】1秋・2     【開講期】秋学期

 

【授業概要】

本科目は、情報通信技術の発展や市場環境の変化の中で進展している商業構造の変革や、企業の流通戦略の実態を理論的・実証的に検討することを目的とする。製造業者と流通業者の企業間取引関係、製造業者のチャネル・マネジメント、流通企業のマーケティング競争戦略、情報技術とロジスティクス、電子商取引、といった流通をめぐる実践的なトピックスを取り上げながら流通論の基礎理論を学習するとともに、情報の経済学やゲーム理論の分析用具を修得し、こうした流通現象をミクロ経済学的に分析し理解できることをめざす。講義形式による解説や練習問題演習のあと、各授業内容に即した事例調査レポートの提出によって理解度を確認する。最後に、授業内容を具体的な事例に適用して分析する応用レポートを作成して応用分析力を養う。

【到達目標】

流通論の基礎理論を身につけるとともに、現代の流通現象を主にミクロ経済学的な視点から分析し理解し、現場の改善・改革に活かすことができるようになることをめざす。

【授業計画】

1.          商業とは何か
(1)
商業の介在する流通 (2) 商業者の役割 (3) 商業における品揃え形成 (4) 品揃え形成による流通費用への効果

2.          小売商業と卸売商業の構造
(1)
小売店舗数と流通費用 (2) 消費者行動と商品分類 (3) 日本の小売商業構造 (4) なぜ卸売業者が介在するのか (5) 望ましい流通段階数とは (6)日本の多段階流通構造

3.          現代の流通構造
(1)
物流情報システムによる流通構造への影響 (2) インターネット販売による影響

4.          商業における信頼関係とパワー関係
(1)
信頼関係と市場取引 (2) 信頼関係の構築 (3) 商業とパワー関係 (4) パワー関係の形成

5.          生産者による流通系列化
(1)
流通系列化とは (2) 流通系列化の現実的問題 (3) 事例

6.          小売業者による製販統合
(1)
流通の延期化現象 (2) 小売業者主導の延期型システムへの展開 (3) 先端事例

7.          小売業者によるPB開発
(1)
なぜPBが導入されるか (2) PBが導入される条件 (3) 製販同盟に基づく共同商品開発 (4) 先端事例

8.          商業における革新、変化する小売業と卸売業
(1)
小売業態革新の展開 (2) 革新のパターン (3) 業態のライフサイクル (4) 生産者に対応した卸売業態の変革 (5) 小売業者に対応した卸売業態の変革 (6) 先端事例

9.          営業革新
(1)
営業活動の性質と変化 (2) 営業部門の対外的活動 (3) 営業部門の組織と管理 (4) 司令塔としての営業

10.       ロジスティックスの役割と変化
(1)
ロジスティックス・コンセプトの進化とマーケティング戦略 (2) ロジスティクスの機能 (3) 3PL (4) 先端事例

11.       顧客関係マネジメント
(1)
直接流通の管理問題  (2) ITによる企業と消費者の関係変化 (3) ITと顧客関係管理 (4) 消費者との協創マーケティング (5) 先端事例

12.       日本の流通構造の展望
(1)
水平統合の加速 (2) 日本的商慣行の変化

13.       課題報告

14.       課題報告(続き)

【評価方法】

定期試験(レポート) 30%

提出物 45%

 ホームワークの提出

クラスへの貢献度 25%

 授業中のディスカッションへの参加態度や発言・報告内容

【テキスト】

  高島克義『現代商業学』有斐閣、2002

【参考文献】

小林哲・南知恵子編『流通・営業戦略』有斐閣、2004

成生達彦『流通の経済理論』名古屋大学出版会、1995