南山大学

 

【科目コード】97835

【科目名称】企業と法の経済学

【担当者】後藤 剛史

【単位数】2                    【配当年次】1秋・2    【開講期】秋学期

 

【授業概要】

企業活動は、民法、商法、労働法、倒産法、独占禁止法、知的財産法などの、様々な法律のもとでおこなわれる。企業にとって望ましい契約形態や組織形態は、法律の内容によって左右されるはずである。本科目では、ある法律のもとで企業はいかに行動すればよいか、法改正に対して企業はどのように対処すべきか、について経済学的なアプローチを用いて講義する。特に、近年その重要性が認識されつつあるコンプライアンスの問題についても、どのような企業内ルールを構築すれば従業員の法律違反を防止できるか、その企業内ルールは経済刑法とどう関連するのか、という観点から分析する。

【到達目標】

   法律が企業活動に与える影響、および企業関連法の立法目的を、経済学的に理解できること。

【授業計画】

  

1.         法と経済学」の基礎概念と経済学的基礎

 1)パレート最適 2)コースの定理 3)ゲーム理論とナッシュ均衡 4)契約理論

2.         不確実性と保険

 1)不確実性下の意志決定 2)保険契約の経済学 3)保険契約の法

3.         契約と組織(1)

 1)完備契約と不完備契約 2)コーポレート・ガバナンスへの応用

4.         契約と組織(2)

 1)解雇規制への応用 2)垂直的統合への応用

5.         日本的雇用慣行の法と経済学

 1)繰り返しゲーム 2)慣習と法規範

6.         独占禁止法の経済学

 1)厚生経済学の基本定理 2)独占による厚生損失 3)独占禁止法の役割と意義

7.         コーポレート・ガバナンスの法と経済学

 1)敵対的企業買収 2)コーポレート・ファイナンスと会社法 3)倒産法制

8.         経営戦略と法規制(1)

 1)水平合併の経済学 2)法的規制

9.         経営戦略と法規制(2)

 1)カルテルの経済学 2)法的規制

10.      経営戦略と法規制(3)

 1)価格差別と製品差別の経済学 2)法的規制

11.      経営戦略と法規制(4)

 1)参入阻止と排除戦略の経済学 2)法的規制

12.      経営戦略と法規制(5)

 1)垂直的統合と垂直制限の経済学 2)法的規制

13.      知的財産権の法と経済学

 1)知的財産制度の役割 2)競争政策との関連

14.      企業犯罪の経済学

 1)違法行為抑止の経済学 2)法制度と情報開示のインセンティブ

【評価方法】

  期末試験:50%、提出物(レポートなど):30%、授業への参加態度:20%

【テキスト】            

  1回〜第7回:宍戸善一・常木淳、『法と経済学 −企業関連法のミクロ経済学的考察−』、有斐閣、2004

  第8回〜第13回:柳川隆・川濱昇(編著)、『競争の戦略と政策』、有斐閣、2006年出版予定

  第14回:ジュリスト1228号(20028115日)「規制緩和社会における制裁の役割」

【参考文献】

小林秀之・神田秀樹、『法と経済学入門』、弘文堂、1986

【備考】

  履修にあたっては、基礎〜中級レベルのミクロ経済学を学習済みであること。